教育政策として自ら提唱した「教育の機会均等」を蔑ろにし、朝鮮学校のみを狙い撃ちにした露骨な行政差別を行っている政府を庇護するため、司法が持つべき良識を捨て去った大阪高裁の不当判決に多くの怒りが寄せられています。
「高校無償化」裁判控訴審判決言い渡しからおよそ1週間。
ほんのひと月前に再び出された国連人種差別撤廃委員会の勧告をも徹底的に無視し、権力にすり寄って「忖度判決」を下した大阪高裁に内外の厳しい目が向けられています。
上智大学・松浦寛先生が、この度の控訴審判決についてネットでご発言されました。以下にご紹介します。

*「高校無償化、朝鮮学園側逆転敗訴 大阪、全国で高裁初判決」

… 朝鮮学校の生徒たちの希望を打ち砕いた冷酷な判決。

教育基本法や学校教育法は、「民族や社会的出自による教育機会に差別があってはならないと定めている。

それでは、われわれが行政サービスを受けられる根拠は何か?それは当人が — 未成年の場合は両親 — 納税しているからだ。

在日朝鮮人に納税だけさせて、教育に関して行政サービスから排除されるのが差別でなくて何が〈差別〉なのだ?

昨今年金の給付年齢が70歳に引き上げられるという議論が取り沙汰され、少なからぬ男性が物故者である年齢であることから、「資金だけ支払わせ、年金を払わないつもりか?」と憤慨する声がきかれる。

朝鮮学校も同じことなのに、窮状にある子供たちのために声を挙げる日本人はまれだ。

◆ 安倍政権には植民地精算の義務

在日朝鮮人の強制連行を立案したのは、安倍首相の祖父である岸信介商工相であり、鉱山で最大の被害者を出したのは麻生炭鉱だ。

また、戦時中は「おまえたちは日本人なんだからいっしょに戦え」と言い、戦後は「日本人じゃないから年金はやらん」と軍人恩給から排除されて来た。

在日朝鮮人たちは、まさに犬猫のようなむごい扱いを受け来たのだ。

それなのに、朝鮮学校の生徒たちは、修学旅行のささやかな思い出の品まで取り上げられ、納税の義務だけあり、教育上のサービスから排除されている。

レイシストたちは「在日特権」などというが、李とか朴という姓を持っているだけで、関東大震災では殺害され、今も就職や結婚の際も大きな不利益を被ることがある。

これが差別でないなら、一体何が〈差別〉なのか?

マイノリティーの権利が著しく侵害されている今の日本社会において、「他者への想像力」をもって人に寄り添う心と、勇気をもって理不尽に抗う声が求められています。それが集まり、大きなうねりとなって築かれるものこそが真の「共生社会」でしょう。
以下に「朝鮮学園を支援する全国ネットワーク」の声明を引用します。

大阪高裁による不当判決に抗議する声明
大阪朝鮮学園が高校無償化制度の対象から排除されたことは違法であるとして国に処分の取り消しなどを求めた訴訟の控訴審判決において、大阪高裁は1審・大阪地裁判決を取り消し、学校側の訴えを退けた。わたしたちはこの不当判決に断固抗議する。
高裁判決は、朝鮮学校が朝鮮総連から指導や財政支援を受けていること、そして朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)の指導者を礼賛する教科書を使っていることなどを理由に、教育の自主性をゆがめるような「不当な支配」が行われている合理的な疑いがあると判断し、文部科学大臣が下した処分は適法であるとした。そこには、子どもの学ぶ権利に係る裁判であるとの視点がまったく見られない。
こうした論理が破綻していることは明白である。大阪地裁判決は、学校の「適正な運営」に関しては財務状態など客観的な認定にとどめるべきだとし、さらに「在日朝鮮人の民族教育を行う朝鮮高級学校に在日朝鮮人の団体である朝鮮総連などが一定の援助をすること自体は不自然ではない」と国側の主張を一蹴していたのである。高裁判決は、すべての子どもに教育の機会均等を保障しようという無償化法の趣旨に反した省令「ハの削除」を違法・無効とした1審の朝鮮学園勝訴の地裁判決を、根底からひっくり返し、国の差別を是認した広島、東京、名古屋の地裁判決に逆戻りしたのである。そして、1審・地裁判決が違法・無効とした「ハ削除」については、大阪高裁は判断していない。
第2次安倍政権の内閣発足から2日後の2012年12月28日、下村博文文科相(当時)は「拉致問題に進展がないこと」「朝鮮総連と密接な関係にあること」などを理由に高校無償化制度から朝鮮学校を除外するべく「ハの削除」を表明したのである。そして翌2013年2月20日に省令が改正され、朝鮮学校は完全に制度から締め出されてしまった。このように朝鮮学校排除が外交・政治上の判断から高校無償化制度から排除されたことは明らかであり、それこそ「不当な支配」である。こうした権力の横暴について適切な審査を加えることなく差別を是認した大阪高裁は、もはや司法の体をなしていない。
今年8月に行われた国連・人種差別撤廃委員会の対日審査においても、前回の勧告に続いて高校無償化制度を朝鮮学校にも適用するよう勧告が出された。国連からの再三にわたるこうした勧告を、無視し続ける日本政府の姿勢は、国際的な批判にさらさるだけでなく、在日コリアンに対する日本国内のヘイトスピーチを助長するという点でも、決して許されるものではない。
また、3回にわたって行われた南北首脳会談、そして史上初の米朝首脳会談を通じて、東アジアは70年以上続いてきた戦争状態から恒久的な平和へと向かいつつある。そうした中、ただ日本だけが対朝鮮敵視政策に固執している。今後も、朝鮮学校を高校無償化制度から締め出し、自治体からの補助金支給の中止を続けるのならば、日本は東アジアにおける孤立をより深めるだけである。
わたしたち「朝鮮学園を支援する全国ネットワーク」は、まるで「制裁」とばかりに続けられる朝鮮学校差別に反対し、朝鮮学校に「高校無償化」制度が適用されるその日まで、全ての関係者とともにこれからも闘い続ける。
2018年10月1日
朝鮮学園を支援する全国ネットワーク
メディアが取り上げた記事や談話などを以下に紹介します。

【朝日新聞 社説】 2018.10.3

【毎日新聞】 2018.9.27

【北海道新聞】 どうしん電子版2018.9.29

【神戸新聞NEXT 社説】 2018.9.29

【日教組・書記長談話】2018.10.3

【しんぶん赤旗】2018.10.16

 

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