無償化連絡会・大阪

〜 子どもたちの笑顔と希望のために 〜

花園へ!

4年ぶり、10回目の全国大会!
去る11月18日、東大阪市花園ラグビー場にて「第98回全国高等学校ラグビーフットボール大会」大阪府第2地区予選・決勝が行われ、大阪朝鮮高級学校が同志社香里高校を38対12で退け、4年ぶり10回目となる全国大会出場を決めました。
晴天に恵まれた決勝当日、いつも通り大阪朝高の選手たちが組んだ円陣から雄叫びのような勇ましい掛け声がグラウンドとスタンドに響き渡りました。
定刻通りに鳴ったキックオフのホイッスルを合図に大阪朝高の果敢なアタックが同志社香里ゴールを再三にわたり脅かします。
開始2分、敵陣でのモールを押してそのまま決めたトライが象徴するように、ゲームは終始、統制のとれた大阪朝高の組織プレーが、縦横無尽に展開する同志社香里の機動力を抑え主導権を握り続けました。
終了間際にも大阪朝高がモールからのトライを決め、磐石の試合運びで4年ぶりの優勝を決めました。同時にそれは、10回目となる全国大会への出場権を意味します。故に、選手たちとスタンドを埋めた応援団の喜びもひとしおでした。
強豪ひしめく全国の舞台に、大阪府代表として臨む選手たちのモチベーションは俄然上がっています。

 

選手たちは2010年度から始まった「高校無償化」制度の適用を受けられず除外され続けている大阪朝鮮高級学校に進み、ラグビーに打ち込むことを選んだ生徒たちです。厳しい練習の合間を縫って街頭に立ち、民族教育への理解と差別政策の是正を訴える活動にも幾度となく参加してきました。
「無償化」からの除外ばかりでなく、大阪府・市からの補助金支給停止など、官製ヘイトと、世間にあふれる排外主義にまみれた口汚いバッシング。彼らの敵は、むしろグラウンドの外にいました。
「好きなスポーツでNo1になりたい!」
逆風に抗い、結束を武器に一歩ずつ前進を続け、ついに「花園」への切符を掴み取った朝高選手たちの胸に去来する思いはこれほどシンプルでも素朴でもありません。苦しい状況の中でも朝鮮学校に送ってくれた親たちの思い、殺伐とした社会の中で頑張る選手たちの姿から民族の誇りを取り戻した同胞たちの思い、大阪府代表の座に一歩及ばず涙を飲んだ先輩たちの思い…。これらすべての思いを背負い、「重圧」ではなく「力」に変えて勝ち進んできた選手たちは、全国の舞台でも力強くスクラムを前へと進めてくれることでしょう。
彼らの背中を押すのは私たちが送るエールです。
ぜひ一緒にスタンドから選手たちに勇気を届けましょう!選手たちはきっと我々に希望を与えてくれるはずです。
12月27日。
朝高ラガーマンたちの熱い戦いが始まります。

大村淳さんを偲ぶ

2018年11月23日、上本町のホテルアウィーナ大阪で「大村淳さんを偲ぶ会」が開かれました。
「城北ハッキョを支える会」の代表として、ひたすらに差別を許さず、子どもたちを愛し続けた大村さんの様々な活動と慈愛に満ちた人柄をふり返り、その功績を讃えるため、6名の実行委員たちが準備した会には多くの人が参加しました。
会では先ず、大村淳さんの遺影が飾られた献花台に参加者全員が一輪ずつ花を手向けました。深く一礼し、写真に写った笑顔の淳さんを見つめ涙する人、何かを語りかける人、皆それぞれ淳さんとの思い出をたどるように献花をしました。
そして、「火曜日行動」を通じて親交の深かった許玉汝さんが自作の追悼詩を朗読されました。語りかけるように詠まれた詩には、淳さんへの深い敬愛と早すぎる死を悼む心情が込められていました。
その後、実行委員会からの挨拶やスピーチがありました。生前の淳さんと深く関わった方々のスピーチからは、淳さんの温かい人柄が偲ばれ、差別と闘い続けた淳さんの思いが改めて深く感じられました。
ある人は、枚方市内の公立中学校で淳さんが社会科教員として教壇に立たれた頃の心温まるエピソードを語りました。何よりも生徒たちを大切にした淳さんの教育にかける思いが、後の朝鮮学校支援活動に引き継がれたのだということがよくわかる逸話の数々でした。また、ある人は、退職後に様々な市民運動、社会活動に取り組まれた淳さんの行動力と熱い心をふり返りました。権力者の傲慢、無知から来る心ない偏見や差別を決して許さない毅然とした淳さんの強さ、誰にでも笑顔で接し、優しい言葉をかけてくれた淳さんの温かさが全ての参加者たちに染み渡るようでした。
淳さんとのかけがえのない思い出が語られた後、城北朝鮮初級学校の児童たちが歌を歌いました。同校・高暢佑校長と許玉汝さんが作詞、金文淑さんが作曲した淳さんの歌です。曲目は「大村すなお先生」。淳さんの優しさに触れた子どもたちの素朴な心情で「城北のハラボジ(おじいさん)すなお先生コマプスムニダ(ありがとうございます)」と歌いました。
その後、城北朝鮮初級学校の先生方が歌を披露し、参加者全員が歌い、踊りながら明るく賑やかに淳さんを送りました。
朝鮮学校の子どもたちをはじめとするすべての子どもたちが等しく学べる社会を築くための活動を通じて結ばれた私たちの心は、大村淳さんにより更に深く、更に強く結ばれました。
この日、私たちが新たな決意を淳さんに誓ったように、これからも淳さんの遺志は多くの人に受け継がれてゆくでしょう。

東京控訴審判決

🔶 10月30日、東京高等裁判所にて、「高校無償化」裁判の控訴審判決が言い渡されました。これに先立ち9月に不当判決が言い渡された大阪からは、朝鮮学園関係者と大阪朝鮮高級学校・尹誠進校長、同校オモニ会代表2名と共に「無償化連絡会・大阪」から藤永壮共同代表と藤井幸之助さんが傍聴に参加しました。

午後3時、東京高等裁判所は889名の傍聴希望者であふれかえりました。午後4時の判決言い渡しを前に、弁護団と朝鮮学園関係者、支援者たちを先頭に東京朝鮮高校生徒たちと同胞、支援者たちが隊列を組み「入廷行進」を行いました。皆一様に硬い表情で傍聴抽選の結果を待つ参加者らの中には、韓国から駆けつけた「ウリハッ キョと子どもたちを守る市民の会」ソン・ミフィ代表や、「モンダンヨンピル」の キム・ミョンジュン監督と朝鮮学校支援者たちの姿もありました。

抽選で選ばれた80数名が法廷に入り、裁判所を取り囲んだ参加者たちが固唾を飲んで見守る中、定刻通り裁判は始まりました。
程なく二人の弁護士が正面玄関から判決を伝える手旗を手に駆け出してきました。
肩を落とし、うつむきながら出てきた弁護士たち。朝鮮大学校卒業生である女性弁護士は肩を震わせています。
落胆と憤怒。諦念や軽蔑。様々な「負の感情」が渦巻く中、どこからともなく湧き上がる司法糾弾の怒声。それはやがてシュプレヒコールを巻き起こし、「声よ集まれ歌となれ」の大合唱へと変わりました。

判決は矛盾に満ちた極めて不当な内容でした。「無償化」法の趣旨に照らし、適法か違法かが争われるべき裁判で、その判断を全く回避した判決に何の意味があると言うのでしょう。不指定処分の二つの理由が「両立し得ない」と認め、「国の説明には一貫性を欠く点が」あると指摘しておきながら、結局は国の言い分を追認しただけの「忖度判決」。司法の独立性をかなぐり捨てて官製ヘイトの片棒を担いだ法廷に、参加者たちの激しい憤りが爆発しました。

🔶 夜、北区の「北とぴあ」大ホールで報告集会が行われました。
「東京朝鮮高校生の裁判を支援する会」をはじめ、人権団体や朝鮮学校が共催した集会では、まず大阪での集会同様、韓国の「ドキュ創作所」が製作した朝鮮学校ドキュメンタリー映像「私たちの声が届いたならば」が流されました。
開会宣言の後、弁護団からの報告がありました。登壇した李春煕弁護士は、満場の参加者たちを見渡し、まずはじめに不当判決を受け残念な心境と、法廷闘争を勝利へと導けなかった忸怩たる思いを率直に語り、詫びました。
李弁護士は、1審で浮き彫りになった国側の矛盾を、高裁では裁判官が指摘したことに一定の評価を示し、有利な兆候と捉えて闘ってきたと言い、逆転判決を期待して今日を迎えたと語りました。しかし、結局は地裁判決同様、無償化除外の真の理由が「規定ハの削除」であることの判断を回避した「最後の最後で逃げた判決」だと断じました。李弁護士は、即時上告することを報告し、最高裁に向けて再び闘い抜くためには弁護団だけの力では勝てないと団結・共闘を強く呼びかけました。
判決報告に次ぎ、朝高生たちの歌と発言がありました。民族教育を受けて育った生徒たちのまっすぐな心が込められた歌声と言葉に参加者たちは胸を打たれました。
その後、東京のオモニ連絡会から始まり、大阪、広島、愛知、九州からのアピールがありました。子どもたちに民族教育を受けさせている当事者として闘い続けるオモニたちの力強い発言と、各地からのエールに会場から大きな連帯の拍手が送られました。
そして、韓国から駆けつけた支援者たちからの発言がありました。
「ウリハッ キョと子どもたちを守る市民の会」ソン・ミフィ代表は、「北の国宝第1号は『平壌城』、南の国宝第1号は『崇礼門』だったが、統一祖国の国宝第1号は在日同胞たちと朝鮮学校だ」と言い、この宝物を守り抜くため力を合わせて闘おうと呼びかけました。
「モンダンヨンピル」の キム・ミョンジュン監督は「この裁判闘争は勝ち負けを争うだけの闘いではない。尊厳を守る闘いだ」と力を込めて訴えかけました。
最後に、「高校無償化からの朝鮮学校排除に反対する連絡会」の長谷川和男代表が行動提起をしました。長谷川代表は、全国へと広がる朝鮮学校支援の輪をさらに広げ、力を合わせて闘い抜こうと呼びかけるとともに、来年2月に「全国一斉行動」を起こそうと提起しました。会場からは賛同の拍手が送られました。
終わりに参加者全員で「越えよ集まれ、歌となれ」を合唱し、集会を終えました。
子どもたちの学ぶ権利を守るため一堂に会した参加者たちは、不当判決に屈することなく最後まで闘いを力強く継続する決意を共有しました。

勝利への信念を全国で共有

来る10月30日の東京「高校無償化」裁判控訴審判決を目前に控えた10月13日、東京の連合会館で「朝鮮学園を支援する全国ネットワーク 2018総会」が開催され、約60名が参加しました。
結成6年を迎えた「全国ネット」は、「高校無償化」裁判を闘っている五つの地域を中心として、全国で繰り広げられている朝鮮学校の処遇改善、差別是正の幅広い活動の成果を共有し、情報を交換する重要な場です。
毎年東京で行われるこの総会に、今年は無償化連絡会・大阪を代表して長崎由美子事務局長と大村和子さんが参加しました。
以下に大村和子さんのレポートを掲載します。

今年で結成6年を迎える「朝鮮学園を支援する全国ネットワーク・2018総会」が10月13日、東京・連合会館で開催された。
日本各地の支援団体、朝鮮学校教職員、関係者約60名が参加した。
初めに、9月27日の大阪高裁で「不当判決」が出された「大阪無償化裁判」控訴審当日の様子を収めた映像が上映された。子どもたちの学ぶ権利、「教育の機会均等」をないがしろにした司法の差別判決に、参加者は改めて憤りとともに今後の裁判闘争勝利に向け更なる支援の思いを強めた。
開会では、全国ネットの藤本泰成事務局長が「国連人種差別撤廃委員会から朝鮮学校差別、在日朝鮮人差別に対して、日本政府に強力な勧告が繰り返されたが、日本社会の歴史への無知、無理解を背景に権力が公然と差別を行なっている。政府による差別と日本社会での深刻化する差別を根絶するべく理解と認識を広めていこう。」と挨拶された。
続いて、9つの都府県、1つの団体から、朝鮮学校支援運動に関する報告があった。
⚪︎千葉<千葉朝鮮学校を支える県民ネットワーク(千葉ハッキョの会)>
「千葉市外国人学校地域交流事業補助金交付要綱」が2013年制定され、千葉朝鮮学校への補助金事業が行われていたが、「美術展」での「慰安婦」をテーマとした絵とコメント及び「芸術発表会」での曲を問題として不交付決定。
不交付に対する抗議集会、情宣活動、募金活動の取り組みの報告。
⚪︎埼玉<外国人学校・民族学校の制度的保障を実現するネットワーク・埼玉>
埼玉朝鮮学校への補助金不支給が、2011年度から続く中、「埼玉朝鮮学校への補助金支給を求める有志の会」を結成し、要請活動、街宣活動等の取り組みの報告。
⚪︎東京<「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会>
裁判闘争、文部科学省前「金曜行動」、又、都内各朝鮮学校毎の支援組織(「ウリの会」「チマチョゴリ友の会」「オッケトンムの会」「ハムケ共に」「サランの会」等)の多様な活動、取り組みの報告。
⚪︎神奈川<神奈川朝鮮学園を支援する会>
2013年の朝鮮学園への補助金の予算不計上に抗議し、集会、署名活動、シンポジウム等に取り組み、2014年、児童・生徒への授業料補助制度として支給決定したが、2016年、拉致問題に関わる教科書の記載の書き換えができないことを理由に、補助金支給が留保される。「学費補助」を求め、街宣活動、署名活動等の取り組みの報告。
⚪︎大阪<朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪>
・弁護団、朝鮮学校関係者、日本人支援者による「三者学習会」
・「高校無償化」裁判、「大阪府・大阪市補助金」裁判支援
(傍聴、裁判費用捻出、周知活動、街頭宣伝、署名活動)
・「火曜日行動」
・「大阪朝鮮学園支援府民基金」(ホンギルトン基金)
・大阪府・市議会への働きかけ、要請行動
・台風災害への支援等
の取り組みの報告。
⚪︎京都<朝鮮学校と民族教育の発展を目指す会・京滋>
京都朝鮮学校の保健室設置に向けた取り組み(保健室ボランティア)
ヘイトクライム事件後の心理ケアの面でのスクールカウンセラー派遣の取り組みの報告。
⚪︎広島<民族教育の未来を考える・ネットワーク広島>
日本人教職員による在日朝鮮人児童・生徒への様々な差別問題に取り組み、又、朝鮮学校との交流を通し、補助金再開、無償化裁判支援に取り組む。2016年「広島無償化裁判を支援する会」結成により、一般市民、労働組合が加わり、裁判傍聴、報告会、街宣活動等の取り組みの報告。
⚪︎山口<朝鮮学校を支援する山口県ネットワーク>
補助金復活を要求し、県庁前座り込み抗議行動、要請活動等の取り組みの報告。
⚪︎福岡<福岡県朝鮮学校を支援する会>
裁判への傍聴、財政支援、署名活動、市民、県民への協力の呼びかけ、世論喚起の取り組みの報告。
⚪︎朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会  /  I 女性会議
各県における朝鮮学校「無償化」裁判、補助金問題の取り組み。朝鮮学校との交流。

各地で朝鮮学校支援の過程で支援の輪が広がってきていることや、国や自治体に対する要請行動の必要性、更なる支援層の拡大の必要性が報告された。
情報共有や活発な意見交流が行われた後、全国で足並みを合わせ支援を展開し、朝鮮学校への差別是正、日本社会の世論喚起のために、来年2月には全国行動に取り組むことが確認された。

昨年以降、「高校無償化」裁判での判決が相次いで出されました。歴史的勝訴となった大阪の1審判決を除いては、ことごとく不当な判決が下されています。
朝鮮学校支援の輪が確実に広がりを見せている反面、民族教育に対する国や行政の差別政策が横行し、不寛容で排外的な空気が社会に蔓延している現実を踏まえ、より広範な日本市民たちに民族教育の正当性を知らせること、権利擁護のための要請行動などを絶え間なく続けてゆくことの必要性が再確認された貴重な集いとなりました。
参加者たちは皆、朝鮮学校支援のネットワークをさらに広げてゆく決意を新たにしました。

秋の朝鮮学校イベント

秋の朝鮮学校はイベント目白押し!
民族教育の本当の姿を自分の目で見て、直に触れ合い、確かめてください!
みなさん、ぜひ最寄りの朝鮮学校へ足を運んでください!

🔶北大阪朝鮮初中級学校

・北大阪国際交流2018 アンニョンフェスタ & オープンスクール
10月21日(日)9:00~15:00

🔶 東大阪朝鮮初級学校

・トンチョオモニフェスタ
10月21日(日)11:30~

🔶 中大阪朝鮮初級学校

 ・中大阪サランフェスタ2018
10月28日(日)10:30~15:30

🔶 大阪福島朝鮮初級学校

 ・創立70周年オータムフェスタ
10月28日(日)11:30~15:30(9:00~ 公開授業)

🔶 生野朝鮮初級学校

 ・セットン祭&バザー
10月28日(日)12:00~16:30
・来て見て知って朝鮮学校(一般公開授業)
11月10日(土)9:55~12:45

🔶 城北朝鮮初級学校

 ・城北ハッキョ地域同胞・秋祭り
11月3日(土)12:00~16:00

🔶 大阪朝鮮第四初級学校

 ・第4가을마당   좋아요! オータムフェスタ2018
11月4日(日)11:00~15:00

🔶 南大阪朝鮮初級学校

 ・南大阪カウルマダン2018「サザンオータムフェスタ」
11月4日(日)
・9:30~10:15:公開授業・保育(参観自由)
・10:25~11:25:民族教育権特別講演会(講師:藤永壯)
・11:30~15:00:秋祭り
※イベントの詳細は、各学校にお問い合わせ下さい。

反響

教育政策として自ら提唱した「教育の機会均等」を蔑ろにし、朝鮮学校のみを狙い撃ちにした露骨な行政差別を行っている政府を庇護するため、司法が持つべき良識を捨て去った大阪高裁の不当判決に多くの怒りが寄せられています。
「高校無償化」裁判控訴審判決言い渡しからおよそ1週間。
ほんのひと月前に再び出された国連人種差別撤廃委員会の勧告をも徹底的に無視し、権力にすり寄って「忖度判決」を下した大阪高裁に内外の厳しい目が向けられています。
上智大学・松浦寛先生が、この度の控訴審判決についてネットでご発言されました。以下にご紹介します。

*「高校無償化、朝鮮学園側逆転敗訴 大阪、全国で高裁初判決」

… 朝鮮学校の生徒たちの希望を打ち砕いた冷酷な判決。

教育基本法や学校教育法は、「民族や社会的出自による教育機会に差別があってはならないと定めている。

それでは、われわれが行政サービスを受けられる根拠は何か?それは当人が — 未成年の場合は両親 — 納税しているからだ。

在日朝鮮人に納税だけさせて、教育に関して行政サービスから排除されるのが差別でなくて何が〈差別〉なのだ?

昨今年金の給付年齢が70歳に引き上げられるという議論が取り沙汰され、少なからぬ男性が物故者である年齢であることから、「資金だけ支払わせ、年金を払わないつもりか?」と憤慨する声がきかれる。

朝鮮学校も同じことなのに、窮状にある子供たちのために声を挙げる日本人はまれだ。

◆ 安倍政権には植民地精算の義務

在日朝鮮人の強制連行を立案したのは、安倍首相の祖父である岸信介商工相であり、鉱山で最大の被害者を出したのは麻生炭鉱だ。

また、戦時中は「おまえたちは日本人なんだからいっしょに戦え」と言い、戦後は「日本人じゃないから年金はやらん」と軍人恩給から排除されて来た。

在日朝鮮人たちは、まさに犬猫のようなむごい扱いを受け来たのだ。

それなのに、朝鮮学校の生徒たちは、修学旅行のささやかな思い出の品まで取り上げられ、納税の義務だけあり、教育上のサービスから排除されている。

レイシストたちは「在日特権」などというが、李とか朴という姓を持っているだけで、関東大震災では殺害され、今も就職や結婚の際も大きな不利益を被ることがある。

これが差別でないなら、一体何が〈差別〉なのか?

マイノリティーの権利が著しく侵害されている今の日本社会において、「他者への想像力」をもって人に寄り添う心と、勇気をもって理不尽に抗う声が求められています。それが集まり、大きなうねりとなって築かれるものこそが真の「共生社会」でしょう。
以下に「朝鮮学園を支援する全国ネットワーク」の声明を引用します。

大阪高裁による不当判決に抗議する声明
大阪朝鮮学園が高校無償化制度の対象から排除されたことは違法であるとして国に処分の取り消しなどを求めた訴訟の控訴審判決において、大阪高裁は1審・大阪地裁判決を取り消し、学校側の訴えを退けた。わたしたちはこの不当判決に断固抗議する。
高裁判決は、朝鮮学校が朝鮮総連から指導や財政支援を受けていること、そして朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)の指導者を礼賛する教科書を使っていることなどを理由に、教育の自主性をゆがめるような「不当な支配」が行われている合理的な疑いがあると判断し、文部科学大臣が下した処分は適法であるとした。そこには、子どもの学ぶ権利に係る裁判であるとの視点がまったく見られない。
こうした論理が破綻していることは明白である。大阪地裁判決は、学校の「適正な運営」に関しては財務状態など客観的な認定にとどめるべきだとし、さらに「在日朝鮮人の民族教育を行う朝鮮高級学校に在日朝鮮人の団体である朝鮮総連などが一定の援助をすること自体は不自然ではない」と国側の主張を一蹴していたのである。高裁判決は、すべての子どもに教育の機会均等を保障しようという無償化法の趣旨に反した省令「ハの削除」を違法・無効とした1審の朝鮮学園勝訴の地裁判決を、根底からひっくり返し、国の差別を是認した広島、東京、名古屋の地裁判決に逆戻りしたのである。そして、1審・地裁判決が違法・無効とした「ハ削除」については、大阪高裁は判断していない。
第2次安倍政権の内閣発足から2日後の2012年12月28日、下村博文文科相(当時)は「拉致問題に進展がないこと」「朝鮮総連と密接な関係にあること」などを理由に高校無償化制度から朝鮮学校を除外するべく「ハの削除」を表明したのである。そして翌2013年2月20日に省令が改正され、朝鮮学校は完全に制度から締め出されてしまった。このように朝鮮学校排除が外交・政治上の判断から高校無償化制度から排除されたことは明らかであり、それこそ「不当な支配」である。こうした権力の横暴について適切な審査を加えることなく差別を是認した大阪高裁は、もはや司法の体をなしていない。
今年8月に行われた国連・人種差別撤廃委員会の対日審査においても、前回の勧告に続いて高校無償化制度を朝鮮学校にも適用するよう勧告が出された。国連からの再三にわたるこうした勧告を、無視し続ける日本政府の姿勢は、国際的な批判にさらさるだけでなく、在日コリアンに対する日本国内のヘイトスピーチを助長するという点でも、決して許されるものではない。
また、3回にわたって行われた南北首脳会談、そして史上初の米朝首脳会談を通じて、東アジアは70年以上続いてきた戦争状態から恒久的な平和へと向かいつつある。そうした中、ただ日本だけが対朝鮮敵視政策に固執している。今後も、朝鮮学校を高校無償化制度から締め出し、自治体からの補助金支給の中止を続けるのならば、日本は東アジアにおける孤立をより深めるだけである。
わたしたち「朝鮮学園を支援する全国ネットワーク」は、まるで「制裁」とばかりに続けられる朝鮮学校差別に反対し、朝鮮学校に「高校無償化」制度が適用されるその日まで、全ての関係者とともにこれからも闘い続ける。
2018年10月1日
朝鮮学園を支援する全国ネットワーク
メディアが取り上げた記事や談話などを以下に紹介します。

【朝日新聞 社説】 2018.10.3

【毎日新聞】 2018.9.27

【北海道新聞】 どうしん電子版2018.9.29

【神戸新聞NEXT 社説】 2018.9.29

【日教組・書記長談話】2018.10.3

【しんぶん赤旗】2018.10.16

 

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不当判決

2018年9月27日。全国5つの法廷闘争で先行してきた大阪の「高校無償化」裁判控訴審判決が言い渡されました。
多くの人が悲しみの報告、怒りの告発をした通り、結果は子どもたちの学習権を一顧だにしない権力に対する盲目的な迎合のみの「不当判決」でした。
国による朝鮮学校差別を是正し、真の「教育の機会均等」を勝ち取ろうと裁判所に集まった300を超える卒業生や保護者、同胞たちと日本人支援者たちが法廷で目の当たりにしたのは、傍聴席真正面に座ったチマチョゴリ姿の高級学校生徒たちが真剣な眼差しで見守る顔を直視することもできずに、判決文をそそくさと読み上げ、逃げるように退廷する裁判官たちの姿でした。
あまりのあっけなさに一瞬、茫然自失となった保護者の一人が叫びました。「恥を知れ!」それを機に爆発した傍聴席の怒りは号泣と怒号となり裁判官の背中に浴びせられました。
すぐさま弁護士の二人が判決を知らせる幕を手に裁判所の外へと走り出ました。彼らが広げる幕に書かれた「不当判決」、「子どもたちを司法は見捨てた!」の文言に、正面玄関前で待っていた人々はしばし絶句し、大きなため息をつきました。
やがて「司法は恥を知れ!」、「子どもたちを差別するな!!」と、怒りに満ちたシュプレヒコールが沸き起こり、歌が始まりました。その歌は、文科省前で行われている「金曜行動」で歌い継がれている「声よ集まれ歌となれ」でした。シュプレヒコールと歌は長い時間続きました。

2013年1月24日から始まった大阪の「高校無償化」裁判は、愛知とともに全国に先駆け行われた法廷闘争の中でも唯一卒業生や在校生ではなく、運営母体である大阪朝鮮学園が原告となり、国を相手取って闘われた裁判でした。
直接的な当事者たちの切なる訴えを法廷で裁判官にぶつけてこそ、広く世論に訴えかける効力も大きいことは十分にわかりつつも、出廷により矢面に立たされる生徒たちの心の傷、身の安全といったリスクを考慮して諦めざるを得ませんでした。
それでも、「就学支援金」の受給対象は子どもたちであることに何ら変わりはなく、「学園」など学校設置者の立場は「代理受領」に過ぎません。これは他ならぬ文部科学省自身の取り決めです。にも関わらず、国は「拉致問題に進展が見られない」などの政治的理由を覆い隠すため、「規程13条の適合性」という「こじつけ」を持ち出しました。曰く「朝鮮学校を『不当に支配』している総聯組織が受給した就学支援金を不当に巻き上げ、授業料以外の使途で流用する」と。ですが、事実がそうでない以上、法廷に出せるような証拠があるはずもなく、「就学支援金の管理が適正に行われるという確証が得られなかった」という、立証責任の所在をも無視した口実を出すのが精一杯でした。しかし、そんな稚拙な主張のほころびをも度外視し、高裁は政府に媚びる破廉恥な「忖度判決」を下したのでした。

閉廷後の記者会見で、大阪朝鮮高級学校の卒業生である申泰革(シン・テヒョク)さんは、「この問題は、ただ単に一つの高校に『無償化』制度を適用するか否かという問題ではなく、日本社会が在日朝鮮人を受け入れようとするのか、それともなかったものにしようとするのか、という問題だと思っている。」「日本国、そして主権者たる日本国民の問題でもあると思っている。差別に対してどう向き合ってゆくのか、どのような政策を行ってゆくのか、この判決を機にぜひ一度考えていただきたい。」と語気を強めて話しました。
また、弁護団長の丹羽雅雄弁護士は「1審判決は子どもの学ぶ権利を考えてくれたが、高裁は朝鮮総連との関係のみで判断した。著しく不当な判決だ」と話しました。そして、原告・大阪朝鮮学園の玄英昭(ヒョン・ヨンソ)理事長が不当判決を糾弾する声明文を怒りに震える声で読みあげました。


夜、「クレオ大阪中央」で判決報告集会が開かれました。およそ600人の参加者たちは、憤まんやる方無い思いでホールに集いました。
集会では、まず韓国のドキュメンタリー創作「牛」のチェ・アラム監督が、モンダンヨンピルの協力を受けて製作した映像が上映されました。「私たちの声が届いたならば」というタイトル通り、朝鮮学校誕生から草創期、今日までの歴史と、民族教育を守り抜いた同胞たちの闘い、そして「学ぶ権利」を求める学生たちの声を無視し、差別政策を打ち出した現政権との闘いの様子が描かれていました。
長崎由美子事務局長の司会で集会が始まりました。
まず、金英哲弁護士が判決についての報告をしました。金弁護士は、去る地裁判決がもたらした意義を、広島、東京、愛知の地裁判決と比較して説明しました。特に「規定ハ削除の違法性」、「規程13条適合性」、「指定の義務付け」問題で学園側の訴えが認められたことの意義が極めて大きかったとした上で、逆にこの度の判決では何ら説得力のある理由もなく、ただ単に国を勝たせるという結論に沿ってこれらの重要な問題をひたすら否定した高裁の重大な問題点について鋭く指摘しました。そして、「落胆している暇はない。即座に上告を表明した学園の意向に従って上告理由書と上告受理申立理由書の作成に取り組む」と最高裁に向けた新たな法廷闘争の始まりを告げました。
続いて、大阪朝鮮学園・玄英昭理事長が声明文を読み上げ、当事者と支援者たちのアピールに続きました。
まず初めに、大阪朝鮮高級学校の3年生が登壇しました。制服のチマチョゴリに身を包んだ生徒は、「ウリハッキョに12年間通い、民族教育で学んできたことと、在日朝鮮人としての存在自体が否定されたような気がして悔しくて悔しくてたまりません」と嗚咽をこらえながら語りました。それでも「たくさんの人に支えられ、闘いを続けてこられた」といい、「必ず訪れる勝利を信じて共に闘い抜きましょう!」と力強く呼びかけました。
次に、大阪朝鮮高級学校オモニ会の洪貞淑会長が役員たちと共に舞台に上がり、保護者の立場から民族教育を守る運動の重要性を語りました。続いて、日本人支援者を代表して「大阪朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪」の大村和子さんがアピールをし、東京、愛知、広島、福岡からの応援アピールへと繋げました。その後、韓国からの連帯アピールがありました。「ウリハッキョと子どもたちを守る市民の会」からソン・ミフィ共同代表、日本軍「慰安婦」被害者のキム・ポットンさんとキル・ウォノクさん、モンダンヨンピルのキムミョンジュン監督がそれぞれ登壇し、声明文を読み上げ、「災害支援金」を無償化連絡会と朝鮮学園に手渡しました。玄理事長の手を固く握り、集会参加者たちに向け「諦めてはいけない。必ず勝利する日はやってくる!がんばりましょう!ファイティン!!」と力強く訴えたキム・ポットンさんに会場から万雷の拍手が送られました。
「無償化連絡会・大阪」の声明文を共同代表の宇野田尚哉教授が読み上げ、集会の最後に、弁護団の丹羽雅雄弁護団長が閉会の言葉で集会を締めくくりました。丹羽弁護団長は、「本来、植民地支配の責任から日本政府には朝鮮学校を国家として全面的にバックアップする義務があったはずだ。」「ところが、やっと『高校無償化』法ができたのに、真逆の歴史の反動として朝鮮学校の子どもたちだけ排除する、これほど歴史を侮辱した行政、政府の行為はない!断じて許されない!」と激しい口調で断じました。さらに「このような不当判決を加害の責任を負う日本人として絶対に許せない!絶対に勝ち抜く!最後の最後まで勝ち抜く!!」と力強く語りました。
最後に丹羽弁護団長は「最後まで!最高裁をひっくり返す覚悟を持って闘い抜く!」と高らかに宣言しました。
会場を揺るがす大きな拍手が沸き起こりました。すべての参加者が弁護団への感謝と信頼を込めた拍手が長くホールを包みました。
その後、司会を務めた長崎由美子事務局長のリードで参加者全員、力一杯勝利に向けたシュプレヒコールを叫び、歌を歌って集会を終えました。

この日の不当判決によって、全国で唯一、大阪で勝ち取った「正しい司法判断」、「意義ある勝訴判決」は消失しました。
朝鮮学校の子どもたちは笑顔を失い、希望を失いました。また、日本社会は「寛容」と「共生」を、そして司法は「三権分立」の命脈である「独立性」を自ら放棄してしまいました。
ですが、失ったものばかりでは決してありません。
裁判所のいたるところで肩をだきあい怒りと悔しさを共有し、共に涙を流した私たちは、この日さらに強固な信念を得ることができました。次の闘いへと繋がる確かな気持ちと結束を得ることができました。
私たちは民族教育を守り抜くため、また立ち上がらなければなりません。
法廷において最も重要な「公正」とともに正義までもかなぐり捨てて権力におもねった「政権救済判決」を私たちは決して許すことができません。なぜなら、この裁判で問われたのは普遍的な教育権に関わる問題だからです。「すべての意志ある高校生たちの学びをサポートする」と謳って始まった「高校無償化」制度から朝鮮学校のみを除外した国の差別政策を許すことは日本社会の民主主義を否定することにもつながります。
すべての子どもたちが等しく学べる豊かな社会を目指して、また一緒に声をあげ、一歩ずつ歩を進めてゆきましょう!

「無償化」高裁判決

9月27日、ついに「高校無償化」裁判控訴審の判決が言い渡されます。
2010年4月の同法施行から8年が経過し、国を相手に訴訟を起こして5年が過ぎました。
在日本朝鮮人人権協会の試算によると、この間、5,000名以上の朝鮮高級学校生徒たちが「無償化」制度から除外されました。その被害の累積額は17億8200万円にものぼるそうです。(2010〜2017年度、目安世帯年収350〜550万円で概算)
ですが、子どもたちが奪われたものは決してお金にかえることなどできません。自らの存在を社会から否定され、暗澹たる気持ちで高校生活を送った生徒もいるでしょう。学費負担を解決するめどが立たず、朝鮮高級学校で学ぶことを断念した生徒もいるでしょう。それでもウリハッキョの生徒たちは前を向き、民族の言葉と歴史、文化を懸命に学び、学校生活を謳歌しました。クラブ活動に打ち込み、同胞社会と日本社会の中で活躍できる日を夢見て歩み続けてきました。
そんな彼らに、司法はどんな言葉を投げかけるのでしょう。
いかなる判決が下されるのか今はわかりません。
それでもはっきりしていることは、傍聴席の子どもたちから目を背けることは許されないということです。
政府の邪な制度差別に対し、平等に学ぶ権利を求めて真正面から立ち向かったこの闘いを審理した裁判官たちには、司法の正義と良識に従い子どもたちの目をまっすぐに見据えて判決を下す責任があります。
そして私たちは、判決がすべての子どもたちに等しく学ぶ権利を認める公正なものであることを信じて最後まで見届けましょう。

◇入廷行進 → 裁判所別館横(東門)午後1時15分集合。隊列を組んで午後1時30分頃、正門まで行進。
◇傍聴抽選 → 裁判所本館・正面玄関前で午後2時から10分間のみ抽選券を配布。
◇判決言い渡し → 午後3時開廷。
◇報告集会 → クレオ大阪中央。午後6時開場、6時30分開始。

控訴審判決を前に

「朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪」の共同代表 / 藤永壯先生が韓国のインターネット新聞『PRESSian』(2018.9.10掲載)に寄稿された 変化する国際情勢の中で判決を迎える朝鮮学校 ~「高校無償化」裁判、大阪・東京控訴審判決を前に~ を以下にご紹介させていただきます。

来たる9月27日の「高校無償化」裁判控訴審判決を前に、子どもたちの「等しく学ぶ権利」と、「寛容」、「共生」を日本社会に取り戻すために闘ってきた私たちが、皆で共有しなければならない文です。
1審で敗れた日本政府が、控訴理由書で唾棄すべき矛盾した論理にしがみつき、自らのおぞましい差別主義、排外主義を糊塗するため躍起になっている姿が見えます。また、朝鮮学校に学ぶ子どもたちの笑顔と希望を願い、いつも支えてくれる人々の温かい心が伝わります。
そして、再び勝利するための信念を呼び覚ましてくれます。

変化する国際情勢の中で判決を迎える朝鮮学校
~「高校無償化」裁判、大阪・東京控訴審判決を前に~

藤永 壮2018年9月10日月曜日
今夏の日本は地震、豪雨、台風、酷暑など尋常ではない自然災害に見舞われ、在日同胞の子どもたちが通う朝鮮学校も少なくない打撃を被った。とくに7月6日に和歌山朝鮮初中級学校が台風7号の襲来で教室が水浸しになるなどの被害を受けたのに続いて、9月4日には台風21号の暴風雨で大阪・兵庫・京都など関西各地の朝鮮学校が甚大な被害を受けた。さらにその直後の9月6日未明に北海道で強い地震が発生したが、幸い北海道朝鮮初中高級学校に大きな被害はなかったという。
自然災害が起こるたびに、SNS上では各地の朝鮮学校の安否を心配するメッセージが飛び交う。それは在日同胞が朝鮮学校に格別の愛情をもっているからだが、一方で多くの朝鮮学校が財政難により施設の補修もままならない状態であることを、みなよく知っているからでもある。
このような困難な財政状況は、日本国家が朝鮮学校を敵視し、今日に至るまで経済的支援を一貫して拒んできたという事情によるところが大きい。教育の機会均等を目的として日本政府が2010年度に始めた「高校無償化」制度から、朝鮮高級学校だけが最終的に排除されたのは2013年2月。この露骨な差別政策に抗議し、朝鮮高級学校の生徒・卒業生たちや運営主体の学校法人は、5年以上にわたって制度の適用を求め、裁判闘争を展開してきた。この間の事情はこれまで『プレシアン』に何度も寄稿してきたが、この9月から10月にかけて大阪と東京で控訴審判決が宣告されるのを前に、ここで改めて論点を紹介しておきたい。
大阪地裁判決の衝撃
現在、日本に10校ある朝鮮高級学校の中で、日本国家を相手取って提訴したのは大阪・愛知・広島・九州・東京の5校である。このうち福岡地方裁判所小倉支部で審理中の九州朝鮮中高級学校(福岡県北九州市)を除く4校には、すでに地方裁判所で第一審判決が言い渡された。その結果は、大阪(2017年7月)では原告全面勝訴の画期的な判決が下されたものの、広島(2017年7月)・東京(2017年9月)・愛知(2018年4月)では原告敗訴の不当判決となった。4校はいずれも高等裁判所で控訴審を係争中であり、来たる9月27日に大阪高裁で、10月30日には東京高裁で判決が言い渡される予定である。なお九州(福岡)の裁判は9月20日に結審する予定であり、今年末または来年初めには地裁判決が出るものと予想される。

大阪地裁による原告(大阪朝鮮学園)全面勝訴の判決は、大阪朝鮮高級学校に対する「高校無償化」制度の不指定処分について、当時の下村博文文部科学大臣が裁量権を逸脱、濫用したもので違法、無効であり、同校は法令に基づき適正に運営されていると認めるものであった。しかし一方で、広島・東京・愛知各地裁は、朝鮮高級学校の教育内容は朝鮮総聯の「不当な支配」を受けている疑いがあるとする日本国家側の主張を支持し、不指定処分については文科大臣の広範な裁量権を認める不当判決を宣告した。
大阪地裁での全面敗訴に危機感を抱いた日本国家側は、控訴理由書で朝鮮総聯の「反社会的組織」としての性格をいっそう強調し、総聯の「不当な支配」のもとにある朝鮮高級学校の教育内容は、教育基本法の理念に反する疑いがあるという牽強付会の主張を執拗に展開した。本来、教育の機会均等を目的とするはずの「高校無償化」制度の適用において、植民地宗主国の意識に満ちた公安警察的な観点をもって、朝鮮学校に対する差別を正当化しようとしたのである。
2018年9月4日の台風21号でなぎ倒された生野朝鮮初級学校の木を、翌日駆けつけた保護者たちが片づけている。©長崎由美子
破綻する日本国家の論理
このような論理展開は審理が進むにつれ、大阪以外の地域の裁判においても日本国家側の強調するところとなっている。しかし教育基本法などの法令に基づく適正な学校運営に疑いがあるとして、朝鮮高級学校を不指定処分にしたというのは、実のところ後付けの理屈に過ぎない。そもそもの不指定理由は、朝鮮高級学校を制度から排除するため、指定の根拠となる法令の規定自体を削除したところにあった。
文部科学省は2010年11月、各朝鮮高級学校から「高校無償化」制度適用のための申請を受け付けはじめた。しかし延坪島砲撃事件の勃発などを理由に、当時の民主党政権は2年以上も審査の結論を出さず、決定を先延ばしにした。そして自民党への政権交代によって2012年12月に成立した第2次安倍晋三政権は、いわゆる拉致問題などの政治・外交上の理由から、当初より朝鮮高級学校に「高校無償化」制度を適用しない方針を固めており、2013年2月20日付で指定の根拠となる規定を削除すると同時に、不指定の通知を送付した。これは明らかに朝鮮高級学校だけを標的とした制度改悪であった。制度を適用するといったん門戸を開いておきながら、申請後になって適用のルール自体を変更するという卑劣きわまりない措置が取られたのである。
この点について、大阪地裁判決では、「教育の機会均等の確保とは無関係な外交的、政治的判断に基づいて」規定が削除されたのであるから、これは文科大臣への「委任の趣旨を逸脱するものとして違法、無効である」と明確に日本国家側の主張を否定する判断を下した。ところが根拠規定削除が違法である点に、とくに焦点を絞り込んでいた東京朝高弁護団の主張に対しては、東京地裁は正面から応答せず、日本国家側の「不当な支配」論に与し、文科大臣による裁量権の逸脱、濫用は認められないとの判決を言い渡したのである。
東京高裁での控訴審において朝高側弁護団が、第一審が規定削除の違法性について検討しなかったことを批判すると、裁判官は日本国家に対して不指定処分の二つの理由――根拠規定削除と、法令に基づく適正な学校運営への疑念――の論理的整合性について説明を求めた。実は「法令に基づく適正な学校運営」は、朝鮮高級学校指定に適用される根拠規定の下位法令に定められた条件なので、その根拠規定が削除されれば、当然「法令に基づく適正な学校運営」という条件は存立の基礎を失うはずなのだ。裁判官の指摘に対して、日本国家側もこの二つの不指定理由は論理的に両立しないと認めざるを得なかった。日本国家側の主張の論理的破綻は、東京高裁での審理の過程でいっそう明確にされたのである。
2018年7月26日に実施された大阪7カ所一斉街頭宣伝行動。約400名の朝鮮学校生徒・卒業生・保護者・教員ら学校関係者、日本人を含む支援者が朝鮮学校が被っている不当な差別について訴えた。©朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪
変化する東北アジア情勢の中での判決
今年に入って朝鮮半島をめぐる国際情勢は劇的に変化した。すでに2回の南北首脳会談が開催され、9月18~20日には文在寅大統領の平壌訪問と3回目の首脳会談が予定されている。6月12日には歴史的な初の朝米首脳会談が実現した。
一方で7月16日には、韓国の43人権・市民団体が、日本政府の朝鮮学校差別是正を求める連帯報告書を国連人種差別撤廃委員会に提出した。そして8月30日には、同委員会が2014年に続き、日本政府に対して朝鮮学校に「高校無償化」制度を適用するよう勧告を行ったのである。東北アジアの国際環境が平和と和解へ向かって大きく舵を切る一方で、日本政府の差別政策を批判する国際世論はますます高まっている。
にもかかわらず、6月28日には関西国際空港で、朝鮮民主主義人民共和国への修学旅行から帰ってきた神戸朝鮮高級学校生徒の土産品が押収される事件が起こった。このような嫌がらせとしか思えない事件に対して、韓国の市民団体がいち早く抗議活動に立ち上がってくれたことは大変心強かった。日本政府は時代の趨勢となった東北アジアの平和構築に貢献し、また過去の植民地支配への責任を全うするために、まずは「高校無償化」制度からの排除をはじめとする朝鮮学校への差別政策を即刻中断しなければならない。
国際情勢が大きく変化する中で、大阪と東京の高等裁判所が改めてどのような判断を下すかが注目される。8月25日に大阪朝高オモニ会は「高校無償化」制度の設計にあたった前川喜平前文科次官を講師に迎え講演会を開催したが、その場で前川前次官はこの裁判で日本国家側が敗訴すると考えていたと明確に語った。常識的に考えれば朝鮮学校側が敗れるはずのない裁判なのである。大阪では原判決が支持され、東京では今度こそ朝鮮学校側の主張が認められることによって、日本の司法の独立性が証明され、その信頼を二度と傷つけることのないよう強く求めたい。
2018年8月25日に大阪朝鮮高級学校オモニ会の主催で前川喜平前文科次官の講演会が開催された。講演終了後、オモニ会代表のリードで参加者が大阪「高校無償化」裁判控訴審の勝訴を願ってシュプレヒコールを唱和している。©朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪

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国連が日本政府に勧告

◇去る8月16〜17日にかけてスイス・ジュネーブで開かれた国連人種差別撤廃委員会において4年ぶり行われた対日審査を経て、8月30日、朝鮮学校に「高校無償化」制度適用を求める勧告が国連・人種差別撤廃委員会より再度出されました。
◇審査では、委員たちからの質問やコメントを受けて、日本政府代表団が日本の取り組みや立場を説明するなど2日間の対話が行われました。そして、今会期の最終日である8月30日に日本政府への勧告などを含む総括所見(最終見解)を採択しました。
◇委員会が出した今回の総括所見では、「ヘイトスピーチとヘイトクライム」の問題、「アイヌ」や「琉球・沖縄の状況」、「慰安婦」や「難民」問題、「外国人技能実習制度」のあり方など多岐にわたる人権問題に加え、「在日コリアンの状況」に関する内容の中で「
朝鮮学校(Korean schools)』が高校就学支援金制度の支援から除外され続けているという報告をさらに懸念する」と言及しました。
そして、「委員会は、コリアンの生徒たちが差別なく平等な教育機会を持つことを確保するために、高校就学支援金制度の支援金支給において「朝鮮学校」が差別されないことを締約国が確保するという前回の勧告(CERD/C/JPN/CO/7-9, para. 19)を再度表明する」と勧告しました。

◇今回も、ジュネーブには日本から在日コリアンの子どもたちの「学ぶ権利」を強く訴えようと、在日本朝鮮人人権協会からの代表や朝鮮大学校在学生、朝鮮学校教員、在阪の同胞らが傍聴に参加しました。
◇そして、この度の審査内容と総括所見を一人でも多くの人に広めようと、9月5日に東京、9月8日に大阪で、日本の人種差別問題に取り組んでいる「人種差別撤廃NGOネットワーク」主催の報告会が行われました。会には、70〜80名が参加し、審査でのやり取りや総括所見などについて詳しく報告されました。

◇メディアが報じた記事を以下に紹介します。

火曜日行動、中止!

【拡散希望!!】

明日、9月4日(火)の「火曜日行動」は、非常に大型の「台風21号」が近畿地方に接近するため、参加者皆様の安全を考慮し、中止といたします。

お知り合いの方々へご連絡をお願いいたします。

前川氏、大いに語る!

8月25日。
土曜日とはいえ、朝10時からの企画に果たして人が集まるだろうか?
9月27日の「高校無償化」裁判控訴審判決言い渡しを目前に控え、当事者である朝高オモニたちが主催した「前川喜平氏講演会」。この間、ビッグイベントの企画・準備に奔走したオモニたちの不安は開演直前までぬぐえませんでした。
しかしその心配は杞憂に終わりました。「高校無償化」法の制度設計に、当時現場のチーフとして一番間近で携わった前川氏の「生の発言」を聞こうと多くの同胞、保護者、卒業生たちや日本人支援者たちが会場の「クレオ大阪・南」大ホールに詰めかけました。404の席は埋まり、立ち見が出るほどの盛況ぶりです。
皆、昨夏の歴史的勝訴判決を再び高裁でも勝ちとろうという同じ気持ちで集まりました。
冒頭、主催者を代表して大阪朝鮮高級学校オモニ会長が舞台で挨拶をしました。オモニ会長は、今講演会の意義に加え、講師を引き受けてくれた前川氏に謝辞を述べました。次に、司会者が講師のプロフィールを紹介し、前川氏を舞台へと招きました。満場の拍手に迎えられた前川氏は演壇まで進むと深々と一礼しました。
「アンニョンハシムニカ。」第一声は朝鮮語での挨拶。次いで「アリラン」をひと節歌いました。途端に会場の雰囲気が和らぎ、聴衆らが演壇にひきつけられました。
講演は終始、穏やかな語り口で進められました。それでも、前川氏の表情や真摯な言葉からは、理不尽な政治的意図により制度差別を行った政府への怒りと、教育行政に身を置きながらもそれを水際で防ぐことができなかった忸怩たる思いが伝わって来ました。
とりわけ、制度を朝鮮高級学校に適用させるかどうかを客観的に確かめるため自ら立ち上げた「審査会」が、極めて外交的な理由で審査を凍結させられ、「棚上げ」のまま恣意的に放置された事実を怒りに満ちた口調で語りました。また教育機関に対する「不当な支配」の意味がすり替えられ、総聯組織と学校の関係性が咎められた状況をおかしいと一言で喝破しました。氏は、他の外国人学校を例に挙げ、「民族的アイデンティティーを正しく涵養するために民族団体と連携を取るのは至極当然のことで、むしろ必要不可欠なことだ」と論じました。

また、審査の期間中、今後「高校無償化」制度に含まれることとなる朝鮮高級学校について知っておく必要があると思い、近畿3校の朝高を訪問した経験を振り返りながら、朝鮮学校の教育レベルが非常に高かったと感想を述べられました。生徒らが「現代口語体」で短歌や俳句を作る授業を参観し、高い知識と感性を目の当たりにしたとしながらも、民族の言葉を主体として行われている教育の大きな意義について深い感銘を受けたと語りました。
行政の立場から見ても、朝鮮学校のあり方から見ても、制度除外の正当性は何一つ見出せないと、前川氏は力を込めて言いました。そして、「民族教育権」を勝ち取るための法廷闘争を自分も応援していると語るや、場内は割れんばかりの拍手に包まれました。
その後も話は多岐にわたり、現在の日本の司法が置かれた危うさ、三権分立の崩壊を思わせる嘆かわしい現状、止まる所を知らない日本社会の右傾化や、危険な民族純化思想などについて語られました。特に日本社会の少子化について、未来の日本社会を憂う思いを語りました。そして、その最も望ましい解決の道は「共生」にこそあると確信に満ちた口調で語りました。しかし、事あるごとに国際化を謳う政府の姿勢は真のグローバルからは程遠い。北欧の国々が示している「エスニックマイノリティ教育」への寛容とは天と地の差があると断じました。
そして、この状況を打開するため、共に声を上げ続けようと投げかけて講演を締めくくりました。その後、質疑応答が行われ、主催した大阪朝鮮高級学校オモニ会の役員代表らが舞台に並びました。オモニたちはマイクを手に、1ヶ月後の高裁判決に向けて、一層運動を盛り上げて行こうと力強く呼びかけました。そして最後に会場と一つになりシュプレヒコールをあげて講演会の全ての予定を終了しました。
「高校無償化」制度に直接携わり、朝鮮高級学校除外の経緯をもっとも間近で見て来た前川氏の話を聞いて、参加者たちは皆、確信しました。やはり子どもたちの「等しく学ぶ権利」を求めるこの闘いにおいて正義は我々にあると。そして、その正義を揺るぎない勝利へとつなぐため、来たる9月27日の控訴審判決言い渡しを万端の準備で迎える決意を新たにしました。

 

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