無償化連絡会・大阪

〜 子どもたちの笑顔と希望のために 〜

月別: 2018年8月

前川氏、大いに語る!

8月25日。
土曜日とはいえ、朝10時からの企画に果たして人が集まるだろうか?
9月27日の「高校無償化」裁判控訴審判決言い渡しを目前に控え、当事者である朝高オモニたちが主催した「前川喜平氏講演会」。この間、ビッグイベントの企画・準備に奔走したオモニたちの不安は開演直前までぬぐえませんでした。
しかしその心配は杞憂に終わりました。「高校無償化」法の制度設計に、当時現場のチーフとして一番間近で携わった前川氏の「生の発言」を聞こうと多くの同胞、保護者、卒業生たちや日本人支援者たちが会場の「クレオ大阪・南」大ホールに詰めかけました。404の席は埋まり、立ち見が出るほどの盛況ぶりです。
皆、昨夏の歴史的勝訴判決を再び高裁でも勝ちとろうという同じ気持ちで集まりました。
冒頭、主催者を代表して大阪朝鮮高級学校オモニ会長が舞台で挨拶をしました。オモニ会長は、今講演会の意義に加え、講師を引き受けてくれた前川氏に謝辞を述べました。次に、司会者が講師のプロフィールを紹介し、前川氏を舞台へと招きました。満場の拍手に迎えられた前川氏は演壇まで進むと深々と一礼しました。
「アンニョンハシムニカ。」第一声は朝鮮語での挨拶。次いで「アリラン」をひと節歌いました。途端に会場の雰囲気が和らぎ、聴衆らが演壇にひきつけられました。
講演は終始、穏やかな語り口で進められました。それでも、前川氏の表情や真摯な言葉からは、理不尽な政治的意図により制度差別を行った政府への怒りと、教育行政に身を置きながらもそれを水際で防ぐことができなかった忸怩たる思いが伝わって来ました。
とりわけ、制度を朝鮮高級学校に適用させるかどうかを客観的に確かめるため自ら立ち上げた「審査会」が、極めて外交的な理由で審査を凍結させられ、「棚上げ」のまま恣意的に放置された事実を怒りに満ちた口調で語りました。また教育機関に対する「不当な支配」の意味がすり替えられ、総聯組織と学校の関係性が咎められた状況をおかしいと一言で喝破しました。氏は、他の外国人学校を例に挙げ、「民族的アイデンティティーを正しく涵養するために民族団体と連携を取るのは至極当然のことで、むしろ必要不可欠なことだ」と論じました。

また、審査の期間中、今後「高校無償化」制度に含まれることとなる朝鮮高級学校について知っておく必要があると思い、近畿3校の朝高を訪問した経験を振り返りながら、朝鮮学校の教育レベルが非常に高かったと感想を述べられました。生徒らが「現代口語体」で短歌や俳句を作る授業を参観し、高い知識と感性を目の当たりにしたとしながらも、民族の言葉を主体として行われている教育の大きな意義について深い感銘を受けたと語りました。
行政の立場から見ても、朝鮮学校のあり方から見ても、制度除外の正当性は何一つ見出せないと、前川氏は力を込めて言いました。そして、「民族教育権」を勝ち取るための法廷闘争を自分も応援していると語るや、場内は割れんばかりの拍手に包まれました。
その後も話は多岐にわたり、現在の日本の司法が置かれた危うさ、三権分立の崩壊を思わせる嘆かわしい現状、止まる所を知らない日本社会の右傾化や、危険な民族純化思想などについて語られました。特に日本社会の少子化について、未来の日本社会を憂う思いを語りました。そして、その最も望ましい解決の道は「共生」にこそあると確信に満ちた口調で語りました。しかし、事あるごとに国際化を謳う政府の姿勢は真のグローバルからは程遠い。北欧の国々が示している「エスニックマイノリティ教育」への寛容とは天と地の差があると断じました。
そして、この状況を打開するため、共に声を上げ続けようと投げかけて講演を締めくくりました。その後、質疑応答が行われ、主催した大阪朝鮮高級学校オモニ会の役員代表らが舞台に並びました。オモニたちはマイクを手に、1ヶ月後の高裁判決に向けて、一層運動を盛り上げて行こうと力強く呼びかけました。そして最後に会場と一つになりシュプレヒコールをあげて講演会の全ての予定を終了しました。
「高校無償化」制度に直接携わり、朝鮮高級学校除外の経緯をもっとも間近で見て来た前川氏の話を聞いて、参加者たちは皆、確信しました。やはり子どもたちの「等しく学ぶ権利」を求めるこの闘いにおいて正義は我々にあると。そして、その正義を揺るぎない勝利へとつなぐため、来たる9月27日の控訴審判決言い渡しを万端の準備で迎える決意を新たにしました。

 

前川喜平氏、来たる!

「朝鮮学校の子どもは日本社会の一員として社会を支えていくために学んでいる。」
「制度の門を開き申請を受け付け、審査もしていたのに、政治判断でいきなり門を閉じた。」、「極めて理不尽」(神奈川新聞2017.9.13)
これらはいずれも「高校無償化」制度から朝鮮高級学校のみが除外された問題を受けて、メディアの取材に答えた前文部科学省事務次官・前川喜平氏の発言です。
2010年に施行された「高校無償化」法、その制度設計に最前線で携わった人物の発言は極めて重いものです。
そんな教育行政きってのキーパーソンが、当時の真相と経緯を大阪で語ります!
大阪朝鮮高級学校オモニ会が、法廷闘争開始から6年目となり、9月に高裁判決が下される大阪「高校無償化」裁判控訴審を内外の大きな関心のもとで迎えようと企画した特別講演会です。現在は退官し、「自主夜間中学」のスタッフとして昼夜を問わず奔走している多忙な日々にも関わらず、オモニたちの熱い呼びかけに快く応じてくれました。
「モリカケ問題」の折には「行政が歪められた」と、舌鋒鋭く安倍政権を喝破した前川氏。すべての子どもたちの「等しく学ぶ権利」を訴えて争った裁判は、教育行政の立場から朝鮮学校を見つめた人物にどう映ったのか…。8月25日、必聴です。
いよいよ山場を迎える法廷闘争をさらに力強く一歩前へ進めるためにも、みなさん是非ご来場ください!

「…五つの裁判のうち、これまでに原告の主張を認めたのは大阪地裁判決だけだが、私もその判断、朝鮮学校の生徒に無償化を認めるべきだという結論が正しいと思っている。」(朝日新聞2018.4.25)

朝鮮学園支援全国ネットの声明

朝鮮学校の民族教育に賛同し支援する人々がいます。
全国5カ所の「高校無償化」裁判を闘う地域をはじめ、北海道から九州まで朝鮮学校が所在する都道府県で、様々な支援活動が朝鮮学校とそこに学ぶ子どもたちを今日も支えています。
「高校無償化」からの朝鮮学校除外や、補助金の支給停止など、民族教育に対する狙い撃ちのヘイトが蔓延する日本社会の中で、朝鮮学校支援の輪をつなぎ広めるため、2012年5月に「朝鮮学園を支援する全国ネットワーク」が結成されました。
私たち「朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪」もこの輪に加わり、不定期開催の「全国一斉行動」や各地の裁判傍聴と集会参加、年1回の総会などで情報を共有し連携を深めています。
この「全国ネット」が先ごろ、片山さつき議員の朝鮮学校差別の正当化に抗議する声明を出しました。
怒りをもって賛同し以下にご紹介します。

[声明]片山さつき参議院議員は朝鮮学校差別の正当化について即刻謝罪せよ

7月29日の夕刊フジに掲載されたインタビュー記事において、片山さつき参議院議員は朝鮮学校への差別を正当化するのみならず、国連人種差別撤廃委員会に対しても圧力を加えるべきだとの主張を行った。わたしたちはこの記事に対し大きな怒りを覚え、ここに抗議する。
片山議員は韓国の市民運動団体が国連人種差別撤廃委員会に報告書を提出し、日本政府による朝鮮学校差別に対して抗議したことを受け、「『朝鮮学校だからダメだ』というわけではない。補助金などを得ようとするなら、北朝鮮との不当な関係を払拭した証拠が必要だ」と主張した。しかし、朝鮮学校の「高校無償化制度」からの適用除外を巡る裁判の4つの地裁判決においても、この「不当な関係」を明確に証明したものはなく全く根拠に乏しい主張であるといえる。そもそも第2次安倍政権が誕生し、内閣発足2日後にあたる2012年12月28日に下村博文文科相(当時)は「拉致問題に進展がないこと」「朝鮮総連と密接な関係にあること」などを理由に「高校無償化」制度から朝鮮学校を除外することを表明している。そして翌2013年2月20日に省令が改正され、朝鮮学校は「高校無償化」制度から排除されてしまった。つまり安倍政権が外交的・政治的判断に基づいて「高校無償化」制度から朝鮮学校のみを除外したことは明らかであり、これこそ国家の不当な介入である。このことは2017年7月28日の大阪地裁判決も認めているのであり、あらゆる国連人権委員会も差別であると明言し日本政府に対して是正勧告を繰り返し出してきたのである。片山議員の主張はむしろ安倍政権の不当性を改めて示しているだけである。

また片山議員は、日本政府による対北朝鮮制裁措置を口実に神戸朝鮮高級学校の学生たちが関西国際空港で修学旅行のお土産を没収されたことについても「日本は粛々と法を執行しているだけで、格別の意図は入っていない。これは明らかに差別ではない」と断言している。しかし、そもそもすべての朝鮮学校の学生がお土産を没収されるわけではなく、今回の事件は関西国際空港の職員が極めて悪意を持って対処したといわざるを得ないものだ。また南北首脳会談・米朝首脳会談が実現し東北アジアにおける平和実現の基盤が作られつつあるいま、「制裁」を掲げて子どもたちの大切な思い出まで奪い去ってしまうという行為は、平和の流れに逆行するものであり到底許すことはできない。
最後にこの記事は「国連は決して中立的な場ではない。日本は国連の分担金の見直しも考慮に入れつつ、発言力を増強するためにさらにコミットしていくべきだ」という片山議員の発言で締めくくられている。分担金を盾に人権問題について駆け引きをしようとする片山議員の主張は、国際協調主義にもとるだけでなくあまりにも稚拙であるといわざるを得ない。

片山議員のこのインタビュー記事は朝鮮学校に対する差別を正当化するだけでなく、日本社会におけるヘイトスピーチを助長し、朝鮮学校に通う学生たちの学ぶ権利を脅かすものであり、到底容認することはできない。そうした趣旨から、わたしたちは片山議員と夕刊フジに対して謝罪することと謝罪文の紙面への掲載を求めるものである。

2018年8月2日
朝鮮学園を支援する全国ネットワーク

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