【大阪アクション in 天王寺】
2017年10月25日。
JR天王寺駅周辺に500名を超える人々が集結しました。
去る7月28日、大阪地方裁判所で下された「高校無償化裁判」の歴史的な「全面勝訴判決」が持つ意義を全国に広め、今まさに闘われている残り4箇所の「高校無償化裁判」原告である朝鮮高級学校在学生、卒業生と弁護団に大きな希望を送ろうと集まった人たちです。
同日同刻、東京の代々木公園で開催される「朝鮮学校高校無償化」裁判・全国集会にあわせて企画された今回の街宣行動は、単に東京での集会に代表を送るだけでは、大阪からのシンパシーは届けられない、むしろ大阪の地で同時に「高校無償化」制度適用実現を力強く訴えることで最大級のエールを送ろうと決められた活動です。「大阪アクション in 天王寺」と銘打たれた企画の趣旨に賛同し、平日の夕刻にもかかわらず大勢の人が天王寺駅に詰め掛けました。
いつものように、長崎由美子事務局長のスタートコールで街頭宣伝が始まりました。
参加者たちは、地域や所属などにより歩道橋、北口、南口と大きく3箇所に分かれてビラを配りました。
そして、南口に停められた街宣車の上から司会役を務めた金亜紀(キム・アギ)さんの進行に沿って7人のスピーカーたちが登壇しそれぞれ発言しました。
まずはじめに「無償化連絡会・大阪」の共同代表・宇野田尚哉氏がマイクを握りました。宇野田氏は、7月28日に下された「高校無償化裁判」での勝訴判決を評価し、朝鮮学校が行なっている民族教育の正当性を改めて強調しました。そして、長きに渡る法廷闘争と共に補助金不支給、高校無償化制度からの対象除外という理不尽な状況が朝鮮学校の疲弊した運営状況に追い討ちをかけている状況について言及し、一刻も早く今の差別的状況を打開せねばならないと訴えました。
共同代表に次ぎ登壇したスピーカーたちは、一様にこの度の「勝訴判決」を喜び、朝鮮学校に対する「無償化」適用と補助金支給が、いかに当然の「等しく学ぶ権利」であるかを語りかけました。そして、不寛容な社会的雰囲気や閉塞感から排外主義が台頭してきた今日の状況を引き起こした者の正体こそ、朝鮮学校をはじめとする社会的少数者の排除を目論む為政者たちであると喝破しました。そして、共に生きる社会の一員として差別的な状況を傍観することなく当事者としての意識を持ち最後まで一緒に闘おうと力強く呼びかけました。
最後に登壇したのは大阪朝鮮学園に係る裁判・弁護団の李承現弁護士でした。李弁護士は、判決言い渡しの日、法廷に響き渡った同胞、支援者たちの歓喜の雄叫びを喜びと共に思い起こしながら「これほど感動と興奮に満ちた判決は過去に経験がない」と勝利の意義を語りました。そして、自身の経験から朝鮮学校卒業生たちがいかに社会に貢献しうる有能な人材であるかを実例を交えて訴えました。最後に、朝鮮学校の「高校無償化」除外で、法案が上程された当初から「特別な役割」を果たした下村博文元文科大臣の名を決して忘れずに、東京都広島の不当判決を唾棄し、大阪の勝訴判決が示した「教育の機会均等」の意義を全国に広めながら最後の最後まで一緒に闘おうと呼びかけました。
最後に、司会の金さんの呼びかけで参加者全員が「子どもたちの学ぶ権利を勝ち取ろう!」と力強くシュプレヒコールをあげて集会を締めくくりました。
この日、参加者らによって街ゆく人々に配られたビラは3,400枚でした。
【「高校無償化」裁判・全国集会】
同日、同時刻。
東京の代々木公園には、大雨にも関わらず三千人にも及ぶ人が集まりました。
集会の参加者全員が、9月13日の不当判決に対する大きな怒りと勝利を勝ち取る日まで闘い抜く覚悟を胸に一堂に会しました。
集会後、朝鮮学校で行われている民族教育の正当性と「高校無償化」裁判での原告の訴えを一人でも多くの日本市民に広めるため、およそ1kmのデモ行進を行いました。
この日の集会を通して、子どもたちの「学ぶ権利」を守る新たな闘いへの固い意志と結束を確かめることができました。
以下に、「無償化連絡会・大阪」の共同代表として集会に参加し、大阪を代表してアピールを行なった韓哲秀さんの発言を掲載します。
アンニョンハシンミカ
無償化連絡会・大阪の共同代表をしているハンチョルスといいます。
子どもは3人います。一人は4年前に大阪朝高を卒業し今は、高3と高1に2人在学しています。
今日、私は大阪からはるばるやって来た訳ではありません。
子どもたちの学費を稼ぐために単身で東京に住んでいます。
ウリハッキョも無償化されていたなら単身赴任する必要もなかったと思います。おかげで、ここ1年間、無償化連絡会・大阪の仕事もほとんど出来ていません。そんな私が、この場で挨拶させてもらうのは心苦しくはありますが、少しでもこの運動の役に立つならばと願ってやみません。
みなさんご存じのとおり、7月にあった大阪の無償化裁判は見事勝利を納めることが出来ました。その後、国は控訴しましたが朝鮮学校が、国相手に勝ったというのは、歴史的な出来事であったと思います。
勝利の知らせを聞いと時は、肩から重い重い荷物が降りたようなそんな気持ちになりました。人々の喜ぶ顔、肩を叩き合って涙する姿をみると、まるで祖国が解放されたときのような大きな喜びが渦巻いているかのよう騒ぎとなりました。
しかし、9月13日。裁判所前で、東京の判決を聞いたときは、身体中の血が冷えていくような思いになったものです。
裁判長が、一言の理由も述べず、私たちの訴えを却下したことを知ったときは、血が一気に逆流するような気持ちにもなりました。
この長い長い闘いに身を投じてきた人々に、一切の敬意を示すことのない裁判官。その態度こそが、この国に根強く残る「植民地主義」を示しているのではないでしょうか。
朝鮮人も、日本人も、ここに集まった私たちが克服すべきことの究極は「植民地主義」だと思います。朝鮮学校の無償化を勝ち取ることは、その「植民地主義」を克服するための第一歩です。
この裁判は、朝鮮学校のためだけにあるのではありません。
ここに生きる市民すべてが、すべての子どもたちに「信頼できる世の中」を残すためにあるのだと私は思います。
そして、裁判という長丁場を乗り切るために、何より大事なことは地道で定期的な活動ではないでしょうか。毎週各地で行われている火曜日行動、水曜日行動、金曜日行動には、本当に頭が下がります。
そこに参加される人々の一歩一歩が、この裁判を強く深く支えているのは間違いありません。
無償化裁判、補助金裁判を通して、私たちは学びに学び、励みに励まされています。そんな私たちが負けるはずがない。
子どもたちの未来のために、この裁判勝ちましょうね。そしてみんなで大きな喜びを分かち合いましょう。
コマスンミダ!
すべての子どもたちが等しく学べる社会が築かれるまで、民族教育権を勝ち取るための闘いは、これからも全国で繰り広げられる。