「こども基本法学習会」
去る3月15日、大阪市北区天神橋のPLP会館5階大会議室にて、同法に対する理解を深めるために企画した「こども基本法学習会」が行われました。
同法は、こども施策を社会全体で総合的かつ強力に推進していくための包括的な基本法として昨年4月に施行されました。政府は同法の施行について「日本国憲法および児童の権利に関する条約の精神にのっとり、全てのこどもが、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指」すと謳っております。ですが、残念ながら施行からおよそ1年が経過した現在、全てのこどもたちを対象として社会全体で支えていくための具体的な施策は出されておりません。
今回の「学習会」は、まず私たちが「こども基本法」の理念や目的、具体的内容について深く知り、将来にわたって国や都道府県、市区町村で推し進められるであろう具体的施策が誰ひとりとして除外することの無い様、働きかける準備を整えるためのものです。夜6時30分から「ハイブリッド形式」で始まった学習会には88名が参加しました。(会場での対面参加63名、リモート参加25名)。
司会は「大阪オモニ連絡会」の金亜紀会長が務めました。学習会に先立ち、大阪府内の朝鮮学校に学ぶこどもたちの元気な姿を収めた6分間の記録映像が上映されました。その後、講師である在日本朝鮮人人権協会の宋恵淑さんが豊富なプレゼン資料をもとに「こども基本法」についてわかりやすく解説してくれました。宋さんはお話の中で「そもそも日本は1989年に採択された『国連・子どもの権利条約』を5年後に国連加盟国としては158番目でようやく批准したばかりでなく、これといった具体的取り組みを行って来なかった」と厳しく指摘し、また、朝鮮高級学校のみの「高校無償化」制度除外や地方自治体による「教育補助金」不支給を幾度となく国連から非難され勧告を出されてもなお放置してきた事実を挙げながら、今回の「こども基本法」に則って今後施行されるであろう各地方自治体の具体的施策から、朝鮮学校や外国人学校のこどもたちが誰ひとり除外されることの無いよう大きく声をあげ行政に強く働きかけてゆかなければならないと訴えました。そして、東京都内の朝鮮学校と支援団体により現在実践されている活動内容を詳しく紹介し、全てのこどもたちを安心して育てる権利、学ぶ権利を守るため互いに知恵を絞ろうと語りました。講演後、質疑応答が行われ、朝鮮学校保護者の代表が学習会の感想を述べました。また、同法の理解を深め、「子育て世代」当事者たちの声を直接聞くため学習会に参加した大阪府議会議員からの挨拶がありました。そして最後に「無償化連絡会・大阪」の長崎由美子事務局長からのアピールで会を締めくくりました。
参加者たちにとって「こども基本法」についての知識を深め、朝鮮学校に学ぶ子どもたちが置かれている厳しい状況についても認識を新たにすることができた学び多き会となりました。