朝鮮学校の民族教育に賛同し支援する人々がいます。
全国5カ所の「高校無償化」裁判を闘う地域をはじめ、北海道から九州まで朝鮮学校が所在する都道府県で、様々な支援活動が朝鮮学校とそこに学ぶ子どもたちを今日も支えています。
「高校無償化」からの朝鮮学校除外や、補助金の支給停止など、民族教育に対する狙い撃ちのヘイトが蔓延する日本社会の中で、朝鮮学校支援の輪をつなぎ広めるため、2012年5月に「朝鮮学園を支援する全国ネットワーク」が結成されました。
私たち「朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪」もこの輪に加わり、不定期開催の「全国一斉行動」や各地の裁判傍聴と集会参加、年1回の総会などで情報を共有し連携を深めています。
この「全国ネット」が先ごろ、片山さつき議員の朝鮮学校差別の正当化に抗議する声明を出しました。
怒りをもって賛同し以下にご紹介します。
[声明]片山さつき参議院議員は朝鮮学校差別の正当化について即刻謝罪せよ
7月29日の夕刊フジに掲載されたインタビュー記事において、片山さつき参議院議員は朝鮮学校への差別を正当化するのみならず、国連人種差別撤廃委員会に対しても圧力を加えるべきだとの主張を行った。わたしたちはこの記事に対し大きな怒りを覚え、ここに抗議する。
片山議員は韓国の市民運動団体が国連人種差別撤廃委員会に報告書を提出し、日本政府による朝鮮学校差別に対して抗議したことを受け、「『朝鮮学校だからダメだ』というわけではない。補助金などを得ようとするなら、北朝鮮との不当な関係を払拭した証拠が必要だ」と主張した。しかし、朝鮮学校の「高校無償化制度」からの適用除外を巡る裁判の4つの地裁判決においても、この「不当な関係」を明確に証明したものはなく全く根拠に乏しい主張であるといえる。そもそも第2次安倍政権が誕生し、内閣発足2日後にあたる2012年12月28日に下村博文文科相(当時)は「拉致問題に進展がないこと」「朝鮮総連と密接な関係にあること」などを理由に「高校無償化」制度から朝鮮学校を除外することを表明している。そして翌2013年2月20日に省令が改正され、朝鮮学校は「高校無償化」制度から排除されてしまった。つまり安倍政権が外交的・政治的判断に基づいて「高校無償化」制度から朝鮮学校のみを除外したことは明らかであり、これこそ国家の不当な介入である。このことは2017年7月28日の大阪地裁判決も認めているのであり、あらゆる国連人権委員会も差別であると明言し日本政府に対して是正勧告を繰り返し出してきたのである。片山議員の主張はむしろ安倍政権の不当性を改めて示しているだけである。
また片山議員は、日本政府による対北朝鮮制裁措置を口実に神戸朝鮮高級学校の学生たちが関西国際空港で修学旅行のお土産を没収されたことについても「日本は粛々と法を執行しているだけで、格別の意図は入っていない。これは明らかに差別ではない」と断言している。しかし、そもそもすべての朝鮮学校の学生がお土産を没収されるわけではなく、今回の事件は関西国際空港の職員が極めて悪意を持って対処したといわざるを得ないものだ。また南北首脳会談・米朝首脳会談が実現し東北アジアにおける平和実現の基盤が作られつつあるいま、「制裁」を掲げて子どもたちの大切な思い出まで奪い去ってしまうという行為は、平和の流れに逆行するものであり到底許すことはできない。
最後にこの記事は「国連は決して中立的な場ではない。日本は国連の分担金の見直しも考慮に入れつつ、発言力を増強するためにさらにコミットしていくべきだ」という片山議員の発言で締めくくられている。分担金を盾に人権問題について駆け引きをしようとする片山議員の主張は、国際協調主義にもとるだけでなくあまりにも稚拙であるといわざるを得ない。片山議員のこのインタビュー記事は朝鮮学校に対する差別を正当化するだけでなく、日本社会におけるヘイトスピーチを助長し、朝鮮学校に通う学生たちの学ぶ権利を脅かすものであり、到底容認することはできない。そうした趣旨から、わたしたちは片山議員と夕刊フジに対して謝罪することと謝罪文の紙面への掲載を求めるものである。
2018年8月2日
朝鮮学園を支援する全国ネットワーク