7月27日。朝鮮戦争の「休戦協定」が結ばれた日から今年で65年の節目を迎えました。去る4月27日の歴史的な南北首脳会談で発表された「板門店宣言」には「休戦協定」を「平和協定」へと転換することが謳われています。
この日を記念し、東アジアの恒久的な平和を求めて様々な立場の人たちが本町にある靱(うつぼ)公園に集いました。
「朝鮮戦争休戦65周年  東アジアに平和を! 7.27キャンドル行動」と銘打って企画されたこの日のイベントは、休戦協定を平和協定へと転換しようとする朝鮮半島の融和にエールを送り、立ち遅れた日朝の対話を促進させようという試み。集会に集まった参加者たちがキャンドル型のライトを手に「PEACE」の文字をかたどった大きな「人文字」を作りました。

集会は「無償化連絡会・大阪」の事務局長でもある長崎由美子さんの司会で始まりました。朝鮮半島の雪解けから始まった平和のうねりを東アジア全体に広めるこの意義ある集会の呼びかけ人として、同じく「無償化連絡会・大阪」の共同代表・藤永壯教授も名を連ねています。22名の呼びかけに応じ、政党関係者や労働組合、人権団体や市民運動団体、そして宗教人たちや一般市民らと共に在日コリアンと朝鮮学校保護者たちからなるオモニ連絡会の代表らも参加しました。集会では、「人文字」パフォーマンスとパレードに先駆け、各代表らがそれぞれの立場からスピーチをしました。
オモニ連絡会・大阪からは、大阪朝鮮高級学校オモニ会を代表して副会長が登壇しました。長崎さんに紹介され、宣伝カーの上に登ったオモニ会代表は、平和へと向かう祖国・朝鮮半島の歴史的な動きを同じ民族として大変喜んでいると歓喜に沸く心境に加え、「板門店宣言」にも謳われた東アジアの平和構築に当事者として寄与したいと語りました。しかし他方で、頑なに平和を拒み続ける日本政府が、日朝問題の「人質」として何の罪もない子どもたちをターゲットに露骨な差別政策を繰り返していると厳しく指摘しました。
すでに係争中である「高校無償化」からの除外や「補助金」の支給停止は言うに及ばず、果ては大阪市が国に先駆けて実施している「幼児教育の無償化」からも幼い子どもたちを排除している現状を大きな怒りで告発しました。また、先ごろ神戸朝鮮高級学校の生徒が、修学旅行先の朝鮮民主主義人民共和国から持ち帰ったお土産を空港の税関に没収された一件に触れ、進展の兆しが全く見えない日朝関係の腹いせに、子どもたちを見境なく差別している政府の態度を強く非難しました。そして、声をあげ闘い続けることで子どもたちの「学ぶ権利」を守ってゆくと力強く決意を表明しました。参加者たちからは大きな拍手と声援が送られました。
その後、様々な政党代表や韓国からの参加者たちがスピーチした後、参加者全員がライトを夕空にかざす「人文字」パフォーマンスが行われました。「PEACE」の5文字をかたどった色とりどりの光を遥か上空のドローンから撮影しました。そして、平和を求める参加者全員の願いを込めたシュプレヒコールに続き、朝鮮半島分断の象徴でもある歌「アリラン」を合唱しました。

その後、ゴールの「なんば」を目指し「御堂筋ピースパレード」が行われました。 第3グループでスタートした在日同胞らと朝鮮学校支援者、オモニ連絡会代表らは、「朝鮮戦争休戦を平和協定へ 東アジアに平和を」と書かれた横断幕を先頭に、御堂筋を練り歩きました。「朝鮮戦争を終わらせよう〜♬」、「東アジアの平和を作ろう〜 ♪」先導する「サウンドカー」から流れる軽快な音楽に乗せてラップのリズムでシュプレヒコールを繰り返し、ステップを踏むように軽やかな歩を進めるパレードは夜の繁華街で道ゆく人たちの注目を集めました。
続けてアピールが行われました。呼びかけ人の一人、藤永壯教授がマイクを手に取りました。藤永教授は、南北と在日の垣根を超えた民族共通の願いである朝鮮半島融和の意義を確認し、苦難に満ちた分断の中で誕生した民族教育の歴史的経緯に照らしても日本が負うべき責任がいかに重いかを説きました。そして、真摯なる過去の清算から朝鮮半島和合へのコミットをスタートさせ、日本国内における在日コリアンの処遇改善を進めてゆくことが大事であり、とりわけ未来ある子どもたちの民族教育権を認めて保護することが急務だと訴えました。さらに、その運動を率先して担うべきは我々日本人だと強く語りかけ、理解と協力を訴えかけました。
続いて、大阪朝鮮高級学校のオモニ会長がアピールしました。現在、高校生である我が子をはじめ朝鮮高級学校の生徒らに「高校無償化」の恩恵が及ばないのは明らかに国の差別政策が原因だと指摘し、世に溢れるヘイトクライムを誘発しているのは他ならぬ政府だと断じました。そして、朝鮮学校に学ぶ子どもたちも日本社会の未来を担う構成員であるとし、日本学校の生徒たちと何ら変わるところはないとしつつ、同じ子を持つ親として、我が子の「学ぶ権利」を主張する自分たち朝鮮学校保護者の声に耳を傾けてほしいと訴えました。オモニ会長の後も役員のオモニたちが代わる代わるマイクを握り、我が子に民族的アイデンティティーを植え付けようと朝鮮学校への就学を選択した心情、ヘイトクライムや差別が横行する日本社会への怒り、共生社会を共に築きたいという願いが込められた熱いアピールが続きました。約1時間、夜の繁華街を進んだパレードはゴールの「なんば」に到着しました。ゴール地点の公園で、主催者たちがねぎらいの言葉をかけながら参加者を迎えます。
この日、朝鮮半島の融和を祝福し、その流れが東アジア全域に広がることを心から願う1500人が集会とパレードに参加し、平和の素晴らしさを声高らかに訴えました。
ゴールしたオモニ連絡会のメンバーたちは、来たる9月の「無償化」裁判高裁判決に向けて運動を一層盛り上げてゆく決意を新たにしました。