去る5月22日、大阪オモニ連絡会の代表ら9名と無償化連絡会・大阪事務局の長崎由美子事務局長、大村和子さんたちが大阪府教育庁私学課に対し、2011年度から完全に支給停止されている朝鮮学校への補助金復活を訴える申し入れが行われました。
午後1時半、この日も行われた「火曜日行動」を終え、庁舎に集まったオモニたちは、政治的理由により、何ら関係のない子どもたちの教育権がないがしろにされている朝鮮学校の状況を改善したい一心で申し入れに臨みました。
私学課からは、総務・専修、各種学校振興グループの2名、教育総務企画課広報議事グループから1名の計3名が対応に出てきました。申し入れは庁舎の1室で行われました。
はじめに、大阪府オモニ連絡会の玄順愛会長が、申し入れの趣旨を伝え、申し入れ書を読み上げました。玄会長は、朝鮮学校に対する大阪府の教育助成は長年に渡る相互信頼の上に成り立った事業だとし、それを教育とは何ら関係のない政治的理由で一方的に破棄した大阪府の態度によって多くの在日の子どもたちが深く傷ついた。不本意ではあるが司法に訴える他なかったと裁判闘争へと至った経緯を明かしました。また、補助金支給停止による財政的被害は計り知れないと訴え、朝鮮学校に子どもを通わせている当事者として黙ってはいられないと申し入れに訪れた真意を切実に伝えました。
玄会長が読み上げた申し入れ書を私学課担当者代表に手渡した後、訪れたオモニ代表たちが一人ずつ発言しました。
「我が子の高校時代、『高校無償化』法が施行され、朝鮮学校が審査により『一時的』に除かれただけと思っていたが、朝鮮学校のみ差別的に除外されたまま8年の月日が経ってしまった。うちの子は、そんな差別に晒されても健気に学校に通い、スポーツや勉学に励んだ。今では日本の大学の薬学部に進み、社会に貢献できる人材として立派に育っている。日本の学校と何も変わらない。行政は朝鮮学校を自分の目で、偏見なくもっとしっかりと見て欲しい。」3人の子を育て、朝鮮学校で学ばせた保護者は、民族教育の真の姿を見て判断することが必要だと訴え、民族的マイノリティーの教育権も守られてこそ、真の共生社会だと訴えました。
また、我が子が差別を受けている今の状況について、言い尽くせない思いを文章にまとめてきたオモニは、次のように語りました。
「他の子どもたちと同じように我が子を学ばせたい。こんな当たり前の基本的人権、子どもの教育権を求めて当事者である保護者がわざわざ行政に出向いて物申したり、司法に訴えなければならない現状があまりにも理不尽で腹立たしい。補助金を打ち切られたせいで非常に高い授業料を収めるため『共働き』が必須なのに、現に私は今日仕事を休んでここに来ざるを得なかった。外国人だから仕方ないのでしょうか?政治的理由があるからしょうがないのでしょうか?」と、やるせない心情を吐露しました。そしてこう続けました。「だとすれば、地方自治体としてヘイトスピーチを行っているのも同然です。ヘイトスピーチが横行する、そんな社会を目指しておられるんでしょうか?」と疑問を投げかけ、行政の責任を追及、断罪し、社会のヘイトクライムに行政が加担している現実を突きつけました。そして、「民族的アイデンティティーを互いが認め合う社会こそが『真の豊かな社会』であり、朝鮮学校に学ぶ子どもたちは、その豊かな社会を作る大切な人材であります。」と、日本社会における民族教育の本質的意義を示しました。
そして最後に「そんな大切な存在である子どもたちを守るため、要件に従わなければお金は出さないなどという暴力的な行為と最後まで闘い続けます」と、固い決意を表明して発言を結びました。
オモニたちの怒りに満ちた切実な訴えが続く一方、地域や学校単位での地道な親善活動が功を奏し、心温まる交流がなされている現実も数多く紹介されました。吹奏楽部で活動する我が子について語ったオモニは、毎年行われている近畿の高等学校を対象としたブラスバンドイベントに参加するたび、「こんなに多くの日本の高校生たちと同じステージで演奏できることが楽しいし、本当に嬉しい」と、目を輝かせる子どもの姿を見るにつけ、一般の市民レベルでは、これだけこの子たちの存在が認められ、温かく迎えられているのに、社会のルールから公然と除外されている現状に複雑な思いがすると語りました。
それ以外にも、地域の「学童保育」に通い、日本学校の子どもたちと仲のいい友達になったことや、公立小学校と交流を深め、プールのない朝鮮学校の子どもたちと日本学校が共同で「着衣水泳」の企画を行うなど定期的な活動を行なっていること、また、保護者間の交流会も盛んに行なっている事例などが紹介されました。「『韓国料理教室』や『チマチョゴリの試着体験』など多彩な企画で相互理解を深める中で理解を示し、私たちの境遇について一緒に考え協力してくださる地域の方々がたくさんいらっしゃいます。」と草の根交流の実績を披瀝したオモニは、逆に国や行政の方が躍起になって私たちを差別していると厳しく批判しました。
9名のオモニたちに続き、「無償化連絡会・大阪」の長崎由美子氏、大村和子氏も日本人の立場から発言しました。長崎さんは、地域における朝鮮学校の存在が在日コリアンと日本人双方にとっていかに大切かということを指摘し、自身が生野区で定期的に行なっているフィールドワークの様子を紹介しました。参加した学生たちの大半が、実際に自分の目で見て、触れ合う過程でメディアに植え付けられた「反日」のイメージが払拭されてゆく姿を通じて、伝聞に惑わされず直接見て確かめることが大事だと強調しました。そして「行政こそ、朝鮮学校を直に見て判断すべきではないか。」と指摘しました。大村さんは、「朝鮮学校がなぜ日本に存在するのかという歴史の問題にも目を背け、支援するどころか逆に差別している状況が日本人として本当に恥ずかしい、補助金を支給してくれと頼むような問題ではない。当然の権利だ。」と強く訴えかけました。
最後に、玄会長がもう一度、補助金不支給の不当性を指摘し、軒並み創立60周年や70周年を迎えている朝鮮学校の校舎老朽化、財政難などの現状を明かしながら、「単なるお金の問題としてではなく、普遍的な『学ぶ権利』に関する問題として、朝鮮学校の差別的処遇を1日も早く解消」するよう強く訴えました。
参加者全員の切実な訴えに、府の担当者たちも神妙な面持ちで耳を傾けました。
1時間以上にも及ぶ申し入れを終えた代表のオモニたちは、各学校でも引き続き子どもたちの「学ぶ権利」を守る活動に拍車をかける決意を新たに庁舎を後にしました。

大阪府オモニ連絡会の声明文