無償化連絡会・大阪と大阪朝高オモニ会が共同で大阪市に抗議

◼️2018年5月18日午前、大阪市の「拉致問題啓発チラシ」配布に対して、配布の取り止めを求める申し入れを行いました。メンバーは、無償化連絡会・大阪の事務局から長崎由美子さんと大村和子さん、朝高オモニ会代表4名と北大阪朝鮮初中級学校保護者1名の計7名です。
対応には、大阪市から市民局と製作企画室から担当係長をはじめとする4人の職員が出て来ました。
始めは、立ったまま事務的に「申し入れ書」を受け取るだけで済ませようとしている雰囲気でしたが、長崎さんのリードで一室を借りることができ、ゆっくりと膝を交えて申し入れをすることができました。まず、長崎さんから申し入れの趣旨について説明があり、双方が自己紹介をして「申し入れ書」を読み上げました。
◼️そして、大村さんからはじまり、順次オモニたちが発言しました。大村さんは「なぜ、このタイミングなのか?南北融和の時期にむしろ逆効果だ。何のメリットもない。それどころか拉致問題解決の足を引っ張る結果しかもたらさない。」とした上で「市長の感覚はおかしい。吉村市長の本心は拉致問題を解決したくないのではないか?全くプラスにならない。」と厳しく非難しました。また、「学校で配れば、児童の中に少なからず含まれる在日の子どもたちがどれほど大きな心の傷を負うか。それどころか危険な目にあう実害も憂慮される。」と指摘しました。そして、「『相手が朝鮮学校なら何をやってもいいんだ。』という雰囲気が醸し出されている。」と、政府主導のヘイトが社会の右傾化を招いている現状を憂い、「かつて公立校で教鞭をとっておりましたが、私ならこの様なチラシは断固として配れません。日本人として恥ずかしい。」と日本人の立場から市の施策を断罪しました。◼️続いて保護者たちが順に発言しました。大阪朝鮮高級学校のオモニ会々長は、「ひとりの保護者として行政がいじめを促しているとしか思えない。朝鮮学校の子どもたちはもちろん、日本学校に通う在日の子どもたちがこれを受け取って陰惨ないじめにあうかもしれないとどうして想像できないのか?」と、行政の姿勢を批判し、「南北首脳会談を機に世界的に平和を望む方向へと向かっている今、日本だけが拉致問題を悪用して対立を煽っている。国ができないなら、地方行政から『対話』へと導いてゆく様な政策を行うべきではないか。」と指摘しました。また、我が子が地域の学童保育を利用していた経験を振り返りながら「そこでは朝鮮人だからといって特別差別されることはなかった。」、「せっかく日本の子どもたちと共に育っていたのに、わざわざ差別意識を行政が植え付ける意図は何なのか?吉村市長に直接問いただしたい。」と言いました。
◼️次いで発言した保護者は、「自分は今、日本の金融機関で働いています。10年前、20年前と世相はずいぶん変わり、今では自分の出自を恐ろしくて明かすことができません。」と、現在の殺伐とした社会状況を憂慮しました。「学生時代、チマチョゴリの制服で通学しても身の危険を感じる様な状況ではなかった。」そして、この社会の差別構造が自然発生ではなく、政府、メディア、地方行政が進んで作り出してきたものだと指摘しました。「全国放送のテレビに出演した大学教授のコメンテーターが、大阪に大量の『スリーパーセル』が一般市民に紛れて潜伏しているなどと、全く根拠のない話を平気でする。先日行われた『阪神教育闘争70周年記念パレード』に親子で参加したが、在特会らしき人が『殺せ!』と叫びながら子どもに迫ってくる。あの時警察が止めに入らなければ一体どうなっていたか。」と、上から降りてきた「差別の連鎖」が危険な領域に達していると非難しました。そして「この様なまったく無意味で、在日の子どもたちを危険に晒すだけのチラシ配布は絶対にやめてほしい。」と繰り返し何度も要求しました。
◼️その後も、保護者たちの切実な訴えが続きました。「火曜日行動」に参加し、手渡そうとしたビラを府の職員にはたき落とされ暴言を吐かれた経験を語ったオモニは、その時に見えた胸のネームプレートを頼りに府庁を訪れ抗議を行なったが、それ以降、「火曜日行動」の時間帯に庁舎へと戻る職員らがネームプレートをポケットにしまっていたと嘆きました。「弱者の声に耳を傾けようとせず、厄介ごとに巻き込まれない様、姑息な知恵を働かせている。」と行政の態度を非難しました。また、「火曜日行動」に参加している姿をFacebookで見かけた職場の若い同僚が「◯◯さんって、ヘイトやってるんですか?」「だって、道端でマイクでアピールしたり、ビラを配ったりするのって『ヘイト』でしょ?」と聞かれ愕然としたと語りながら、「在日の歴史、自分たち日本が朝鮮半島にやったことの歴史をちゃんと学んでほしい」と切実に願いました。
それから、何があっても子どもたちに危害が加えられる様なことがあってはならないという訴えや、是非とも朝鮮学校を一度直接見にきて、偏見なく判断してほしいという申し入れ、納税義務を始めすべての義務を果たしているにも関わらず、権利からは除外され、差別を受けている現状の矛盾を強く訴える発言が続き、すべての参加者たちが思いを述べることができました。
◼️一般的に「申し入れ」は、長くても15分程度のところ、1時間以上、話を聞いてもらうことができました。終了後、問題となった「拉致啓発チラシ」の現物を見せてもらいました。

見れば見るほど、なぜこの時期に、このタイミングで、このボリュームで(学校単位にだけでも6万枚ほど)、この対象(小学校の子どもたちから)なのか、施策の真意がまったく伝わらないことを感じました。
配布の「取りやめ」まで勝ち取ることはできませんでしたが、対応にあたってくださった職員の方たちから「質問を出してください、団体交渉という形でまたいらして下さい」との前向きなアドバイスを受けることができました。「人権救済の申し立て」や8月の「国連・人種差別手撤廃委員会」なども視野に、活動を広げてゆくきっかけとなりました。