フォーラム

朝鮮学校を支援する全国弁護士フォーラム2025大阪

11月22日、大阪朝鮮中高級学校で全国4回目となる「朝鮮学校を支援する全国弁護士フォーラム2025大阪」が開催されました。
当日は全国から39名の弁護士や朝鮮学校支援者、同胞・朝鮮学校保護者、弁護士を目指す大学生たち、現職の府会・市会議員をはじめとする多くの方々がエントリーされ、課外授業の一環としてフォーラムに参加した大阪朝鮮中高級学校・高級部生徒たちと合わせ約500名で会場となった体育館を埋め尽くしました。
まずは中高級学校の授業参観が行われました。国語・日本語・英語などの語学授業を通じた「トライリンガル」の実践をはじめ、数学や朝鮮史、理科や社会、そして保健や美術などバラエティーに富んだ授業が行われ、参加者たちの関心を集めました。また、授業の内容や朝鮮学校についてより深く理解してもらえるよう同校オモニ会の面々が「ガイド」を務め、参加者たちを先導し丁寧に解説してくれました。
授業の後、大阪における民族教育の発祥と歴史、現況についての講話があり、参加者たちは民族教育への理解を深めました。
昼食後、会場となった体育館の舞台で同校生徒たちによる「芸術公演」が披露されました。民族楽器の合奏やコーラス、自分たちの学校生活を紹介するプレゼンテーションなども披露され、参加者たちから大きな拍手が送られました。特に、今春あたらしい校舎を建て移転を果たした同校の歴史と喜びを舞台いっぱいに表現した舞踊「世代を継いで〜新校舎竣工式の日に」は大きな感動を与えてくれました。
芸術公演のあと、フォーラムが行われました。
フォーラム全般の総合司会は朝鮮学校裁判・大阪弁護団の金星姫弁護士が務めました。
金弁護士の開会宣言のあと、フォーラム会場である大阪朝鮮中高級学校・金采炫(チェヒョン)校長と、実行委員長・丹羽雅雄弁護士から挨拶がありました。
その後、同じく朝鮮学校裁判・大阪弁護団の金英哲弁護士が「大阪での『高校無償化裁判』の経緯について」解説をしました。
次いでパネルディスカッションが行われました。
この日、パネラーとして壇上に登ったのは、国際法学者で法学博士、青山学院大学・法学部学部長を務める申惠丰(シン ヘボン)さん。申さんは「国際人権法学会」の第10期理事長を務められました。演壇で申さんは「無償化法と国際人権法について」簡潔に語られました。次いで紹介されたのは、旧文部省入省・大臣官房長、初等中等教育局長、文部科学事務次官などを歴任され、2010年当時、「高校無償化」の制度設計を直接担っておられた前川喜平さんです。2017年の退官後には「現代教育行政研究会」の代表を務めておられます。前川さんは「無償化法成立の経費について」講演されました。最後に紹介されたのは岡口基一さんです。岡口さんは東京高等裁判所判事、仙台高等裁判所判事を歴任された元裁判官です。
3名のパネラーが揃ったところで、李承現弁護士の進行のもと「パネルディスカッション」が始まりました。高校無償化裁判・大阪地裁勝訴判決の意義と、高裁以降の敗訴理由についての李弁護士の質問に、3名がそれぞれの立場から的確に答えられました。丹羽雅雄弁護団長も交えた深みあるやり取りを通じて「高校無償化裁判」と日本政府の差別政策の本質が克明に解き明かされました。パネルディスカッションの終了後、会場からの質問に答えるコーナーも設けられ、大変学びの多い場となりました。フォーラムの最後に、無償化連絡会・大阪の共同代表を務める藤永壯(大阪産業大学)さんから閉会の挨拶がありました。藤永先生は「外国人に対する差別、排除の根底にある植民地主義を糾すべく闘っていかなければならない。ぜひ、法律家の皆さん方は、民族教育を守り発展させるための法的な措置、法的な枠組み、制度を考え、ご提案いただければ幸いです」と締めくくりました。
全国5ヶ所で闘われた「高校無償化裁判」の問題を軸に多彩な内容で行われ、とても意義深いものとなった4回目のフォーラムは、来年開催される「朝鮮学校を支援する全国弁護士フォーラム2026福岡」へとバトンを渡しました。

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