「子どもが安心して自分らしく学べる学校が必要」
1月28日、参議院本会議において、立憲民主・社民・無所属の水岡俊一参議院議員が第217回通常国会 政府四演説に対する代表質問を行いました。
水岡議員は、質問に先立ち石破総理の施政方針演説について言及し「『政治とカネ』を取り上げることもなく政治に対する信頼を取り戻そうという決意が感じられません。」と総理の政治姿勢に対して厳しく批判しました。
そして水岡議員は、災害対策についての質問に続けて「教育問題」を数多く取り上げました。その中で水岡議員は朝鮮学校の「高校無償化」制度適用について下記のように質問しました。
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1918年の第一次世界大戦終結後、日本政府は国際連盟設立に向け、人種差別撤廃条項を連盟規約に挿入することを企図していました。国際連盟委員会に、人種や国籍を問わず、法律上あるいは事実上何ら差別を設けず、すべての面で「均等公平」の待遇を与えることを、規約に明記すべきだと提案しています。五大国のうち有色人種の代表による提案として、反響は小さくなかったようですが、最終会合の評決では全会一致が必要として日本提案は否決されました。
時が経ち、第二次世界大戦終結後の1948年、国連総会は「世界人権宣言」を採択しました。その第1条には「人間の尊厳と平等」、第2条には「差別の禁止」などとあり、日本がかつて提起したことが、形を変えて国際社会に登場したのです。国連はその後「宣言」内容の具体化を目指して各種の人権条約を採択してきましたが、その第1号が「人種差別撤廃条約」で1965年の国連総会で採択され、日本は1995年に加入しました。
2014年の人種差別撤廃委員会の「総括所見」では、朝鮮学校が就学支援制度の恩恵を受けることができることをはじめ、朝鮮学校が差別されないことを締約国が確保せよと再度表明しています。
質問9 日本政府が、かつて米国内の日本移民を守るため国際舞台で人種差別撤廃を訴えておきながら、日本国内において都合が悪くなると完全に無視するという行動をとることを、石破内閣は肯定しますか。
質問10 朝鮮学校に学ぶ子どもが今叫んでいます。「朝鮮人って、日本にいちゃあいけないの」「朝鮮学校って、行っちゃあいけないの」。これに対し、石破総理はどう答えますか。
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1965年の国連総会において採択され、1995年に日本が批准した「人種差別撤廃条約」。
在住外国人の基本的人権諸問題で度々国連から勧告を受けている日本ですが、2014年にも国連から朝鮮学校のみ「高校無償化」制度から理不尽な理由で除外されている差別的状況を改善するよう厳しく指摘された事実を、水岡議員はまず指摘しました。そして、人権問題に対する日本政府のダブルスタンダードな姿勢を批判し、朝鮮学校に通う子どもたちの悲痛な叫びを紹介しました。
その上で、石破総理に対し朝鮮高級学校の「高校無償化」制度適用を促しました。
残念ながら石破総理の回答は「朝鮮学校は法令に基づいて定められた審査基準に適合すると認めるに至らなかったため、就学支援金制度の対象に指定されていない」という、「高校無償化裁判」闘争の際、法廷でも政府が繰り返した詭弁を弄するばかりでした。しかし、国会中継としてリアルタイムで全国に公開される場で朝鮮学校の問題が取り上げられたことにはとても大きな意義があります。
大阪府・市による補助金支給停止措置、幼保無償化からの除外など、在日コリアンの民族教育に対する差別は依然無くなる気配を見せませんが、水岡俊一議員のように心ある政治家として国政に差別撤廃を訴えてくれる議員もいます。
この声が一人でも多くの人々に届くようこれからも様々な活動を行ってゆかなければなりません。