衆議院選挙が終盤を迎えた2024年10月20日、立憲民主党の野田佳彦代表が東京都内で記者団の質問に答え、政府の高校授業料無償化の対象に朝鮮学校を含めるかを問われると、「北朝鮮が日本にミサイルを乱発している状況の中で、国民感情として国民の税金を使うことに違和感を持つ人はいるだろう。無理して変えるわけにはいかない」と述べた。
高校無償化制度から朝鮮学校のみが除外され続けて14年、最高裁による広島訴訟の上告棄却=すべての「高校無償化裁判」敗訴の確定から3年。官製ヘイトの陰惨な構図は何も変わっていない。
昨年の秋に出版された「大阪朝鮮学校無償化・補助金裁判記録集」のサブタイトルは「あたりまえの権利」を求めて。
朝鮮学校に通う子どもたちの「学び」は日本の子どもたちのそれと何ら変わりはない。
同じ日本社会の中で懸命に学び、育ち、夢に向かう子どもたちを大人たちがサポートするという「あたりまえ」が否定され続けている現実から決して目を背けてはならない。
2016年に文部科学事務次官を務めた前川喜平氏は10月22日付の「X」に以下の投稿をされた。
前川喜平(右傾化を深く憂慮する一市民)
朝鮮学校の生徒は北朝鮮のミサイル発射に何の責任もない。生徒たちは在日3世・4世だ。彼らは日本で生まれ日本で育ち日本で学び日本で働き日本で生き日本で死ぬ、日本社会の一員だ。在日の人たちは、所得税も消費税も相続税もどんな税金も、日本人と同じように納めている。
朝鮮学校に学ぶ子どもたちもこの社会で共生する一員であることをしっかりと踏まえ、理不尽な現状に抗い「あたりまえの権利」を求め続ける意義を今一度噛みしめたい。