🔳大阪府と大阪市を相手取り2012年9月20日から6年以上の長きに渡り争われてきた「補助金裁判」が昨年末に終結しました。
最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は、原告・大阪朝鮮学園の上告を退ける決定を下しました。これで学園側の訴えを棄却した1、2審判決が確定しました。決定は11月28日付。4裁判官全員の判断が一致した結論でした。
最高裁は弁論すら認めませんでした。
🔳大阪朝鮮学園は、1974年度から大阪府による助成を受けるようになり、1991年度からは「私立外国人学校振興補助金」の交付を毎年受けてきました。また、1988年度からは大阪市により「義務教育に準ずる教育を実施する各種学校」として補助金の交付を長年にわたり毎年受けてきました。
🔳ところが2010年の3月、当時の橋下徹大阪府知事は学園に対し、外国人学校の独自性や私立学校法に定められた「建学の精神」をも一顧だにしない不当な要件を補助金支給の条件として突きつけてきました。
しかも、朝鮮学園が民族教育の内容にまで踏み込む政治介入に対し苦渋の決断をして要件を満たし、申請したにも関わらず、子どもたちには何ら関わりのない外交問題を口実に2011年度分から補助金を完全に停止したのです。
🔳時を同じくして2010年から始まった「高校無償化」制度から朝鮮高級学校だけが除外されました。「全ての意思ある高校生」が対象だと政府自ら謳ったにも関わらず、子どもたちには何ら関わりのない政治的理由を持ち出し、国が率先して行った差別に対し、国連が度重なる「勧告」を出すなど国際社会も厳しい目を向けました。
🔳その後、2013年から今まで、長い歳月を費やし法廷闘争が繰り広げられましたが、2017年1月26日に大阪地裁、翌年3月20日に控訴審判決が言い渡されました。結果はあまりにも不当な「行政救済判決」でした。子どもたちの「等しく学ぶ権利」は完全に黙殺され、行政の裁量を限りなく広げた理不尽な解釈によって教育への公的補助を「贈与」に過ぎないと言い切る内容でした。「補助金の交付を受けられないことにより結果として朝鮮学校に通学する児童・生徒・保護者の学習環境の悪化や、経済的負担の増大などの影響が懸念されるところではあるが…、やむを得ない。」朝鮮学校の子どもたちは差別されても仕方ない。まるで官製ヘイトにお墨付きを与えた司法の責任放棄と言える内容でした。
そして今回、1審から「無理筋」を通し続け「教育の機会均等」を踏みにじる言い訳を繰り返してきた行政の差別を確定させてしまったのです。
🔳なぜ自国の言葉や文化、歴史を学ぶことが否定されなければならないのでしょうか?
なぜ朝鮮学校だけが、その教育内容まで問題視され、不当な要件を突きつけられなければならないのでしょうか?
「国民の税金を投入することに理解を得られない。」政治家や首長、文科省の役人たちが口を揃えて言い放った朝鮮学校への補助金不支給の口実。
在日コリアンたちには「納税の義務」はあっても「学ぶ権利」はないとでも言うのでしょうか?
理解を得られるような努力を微塵もせず、むしろ朝鮮学校に対する市井の蔑視や迫害を煽り続けた行政の振る舞いからは、大阪府や大阪市自らが謳う「共生社会」は決して実現されないでしょう。
🔳国が率先して差別し、司法が見捨てた大阪朝鮮高級学校は全国屈指のラグビー強豪校です。昨年11月18日、花園ラグビー場で行われた「第98回全国高校ラグビー大会」大阪府第2地区決勝戦で見事優勝し、全国大会への切符を手にしました。そして、全国大会では多くの声援を受け、堂々初戦に勝利する立派な戦いぶりを見せてくれました。大阪府代表として「全国」の舞台に立った朝鮮高級学校の生徒たちに他の高校生たちと同じ「学ぶ権利」が与えられない現実はあまりに理不尽で不当な差別だと言わざるを得ません。
🔳朝鮮学校は「開かれた学校」として地域社会に根付いています。半世紀以上にわたる民族教育の歴史の中で「共生」を実現しながら日本の皆さんと共に豊かな地域社会を築いてきました。
毎年、子どもたちが元気に学ぶ姿を見ることが出来る一般公開授業や、様々なイベントを通じて多くの方々が朝鮮学校と触れ合っています。
🔳ぜひ一度、最寄りの朝鮮学校に足を運んでみて下さい。
きっと日本学校で学ぶ子どもたちと何ひとつ変わらない子どもたちの笑顔に触れることができるはずです。
その目で直接、朝鮮学校の姿を確かめてみてください。そして、国や行政の差別を是正し、すべての子どもたちが平等に学べる社会を築くため、私たちと一緒に声をあげてください!!