朝鮮学校の存在意義、国際人権基準に照らし主張
■去る2月25日、大阪地裁202号大法廷で補助金裁判の第13回口頭弁論が行われました。当日は多くの同胞、保護者、日本人支援者らが傍聴券を求め大阪地裁に詰めかけました。裁判では原告弁護団から仲尾育哉弁護士が意見陳述を行いました。
今回、原告側は前回の公判で示された大阪府・大阪市の主張に対し五つの内容を整理し反論しました。
①府・市の補助金不支給行為は、外国人学校を含む私学助成に関する法の趣旨や応答義務を負うと評価できる実践の積み重ねに照らすと処分性(ある機関の行為が「行政庁の処分その他公権力の行使」にあたること)が認められる。
②(処分性がないとしても)補助金の交付について自治体が有する裁量は、学習権(憲法26条)、幸福追求権(同13条)、法の下の平等(同14条)、国際人権規範(後退的措置禁止原則)を侵害すれば許されないという制約を受けている。
③「1条校」や学習指導要領に準じる必要があるかどうかはともかく、事実として「1条校」や学習指導要領に準じた母国語による普通教育が実践されている。また「1条校」に準じることを求めるのであれば「1条校」並みの補助金が支給されてしかるべきだが、実際は3分の1程度の補助金しか受けることが出来ず、この差別を棚に上げて「1条校」や学習指導要領に準じることだけを求めるのは道理に合わない。
④法体系上も政府答弁においても、各種学校である朝鮮学校に政治的中立性が要求されていないのは明らかだ。
⑤4要件(要綱改訂)は、朝鮮学校だけを狙い撃ちにした政治的理由によるもので不当だ。
また、これらと共に、朝鮮学校が歩んできた歴史や日本における位置づけ、国際人権基準に当てはめるとどうなるか、といった主張を展開しました。
裁判終了後、場所を大阪弁護士会館に移し報告会が行われました。丹羽雅雄弁護団長が今回の裁判を振り返り、主張の要旨と今後の立証計画、争点などについて詳しく説明しました。
意見陳述を行った仲尾育哉弁護士がご報告しました。国際人権法の見地からも朝鮮学校運営に正当性があり民族的アイデンティティーを育む在日コリアンの民族教育を当該国である日本が積極的に保護し、支援する義務があると主張しました。
前回の裁判を社会勉強の一環として傍聴した大阪福島朝鮮初級学校の高学年児童たちが弁護団を応援するために作った「寄せ書き」の色紙が丹羽弁護団長と普門大輔弁護士に手渡されました。