国際人権法に照らして朝鮮学校の存在意義を証明
■去る2015年2月6日、大阪地裁202号大法廷において高校無償化裁判第10回口頭弁論が行われました。今回も100人を超える多くの同胞、朝鮮学校保護者、朝鮮学校関係者、日本人支援者らが傍聴に駆けつけ91席の法廷は満席となりました。原告弁護団から李承現弁護士が意見陳述を行いました。これまでは主に国内法の見地から「無償化」除外の違法性を主張してきましたが、今回は国際人権法に照らしての主張がなされたのが特徴的です。李弁護士は社会権規約や自由権規約などを挙げ、朝鮮高級学校を「無償化」から除外することは国際人権法にも反するものであり、生徒、保護者はもちろん学校関係者にも多大な精神的、経済的苦痛を強いていると述べました。今回の法廷に原告側は朝鮮学校在校生、卒業生、教員、保護者、日本人支援者、大阪朝鮮学園理事長ら朝鮮学校に携わる人々の様々な思いを聞き取りして文書にまとめたものを陳述書として提出しました。法廷ではそのうちの一部が読み上げられました。「朝鮮学校は自身のルーツや朝鮮の歴史、文化を学び、在日朝鮮人がしっかりとしたアイデンティティーを育む事の出来る唯一無二の場であり、学習活動も課外活動も活発で優秀な人材を多数輩出しています。また「地域同胞コミュニティーの中心にもなっており、欠かすことの出来ない非常に大きな存在意義を持っています。」また、李弁護士は、「高校無償化からの排除は地方自治体の補助金不交付を連動させ、朝鮮学校への就学が困難になるほど保護者の経済的負担を大きくし、朝鮮学校を存続の危機へと追いやっている」と指摘しながら、「外国人学校であれば本国との関わりや、同胞組織との関連があるのが当然のことであるのに、朝鮮学校についてのみ、そのことが否定的に喧伝され、偏見に満ちた報道がなされ、日本人による差別的言動を助長する様な風潮が強まっている」と主張しました。そして、意見陳述のしめくくりとして大阪朝鮮学園理事長の「ぜひとも裁判官の皆さんには朝鮮学校に来て、子どもたちの姿を見てもらいたい」という言葉も紹介されました。陳述後、丹羽雅雄弁護団長が今後の立証計画について発言しました。まず、大阪府下の朝鮮学校に子どもを通わせている全保護者を対象として実施されたアンケート調査票とその集計データ、そしてそれらをもとに書かれた専門家の鑑定意見書を証拠として提出することが確認され、朝鮮学校設立の歴史的経緯と存在意義についての専門家による意見書も提出することが確認されました。