原告弁護団、鄭文哲弁護士が要旨陳述
国の主張「不当な支配」が事実に反することを立証
秋晴れの10月14日、大阪地方裁判所202号大法廷において13回目となる「高校無償化裁判」口頭弁論が行われました。
この日原告弁護団は、前回期日である7月15日に証拠として提出した2冊の書籍のうち「朝鮮学校物語」を紹介しながら、朝鮮学校の実像に迫り、被告が第8準備書面に於いて主張した「不当な支配」というものが実態といかにかけ離れているかを立証しました。
原告弁護団から鄭文哲弁護士が要旨陳述を行いました。陳述の中で鄭弁護士は、書籍「朝鮮学校物語」で紹介された数名のエピソードを引用して生徒本人や保護者たちと朝鮮学校との関わりが、国の偏見に満ちた「不当な支配」という主張にはまったくあたらず、民族的アイデンティティーを守り、受け継いで行こうとする意思を満たす大切な「学びの場」である事を強く証明しました。また、韓国に広がる「朝鮮学校支援ムード」の高揚が、この「朝鮮学校物語」の出版にも繋がったとしながら、被告が主張する「不当な支配」が荒唐無稽であることの証左でもあると指摘し、被告の政治的偏見に満ちた主張に惑わされず、朝鮮学校の実像や生徒たちの生き生きと学ぶ姿を直接見たうえで、その様子を頭に浮かべながら裁判を行うことを裁判官に求めました。
そして最後に、被告の第8準備書面に対する反論を展開し、本件が抱える差別的な本質をぼかし論点をすり替えようとする被告の不当な主張を一つひとつ丁寧に論破して陳述を終えました。
陳述後、丹羽弁護士が発言しました。丹羽弁護士は、一貫して無償化対象除外の差別的本質を質す原告の訴えに対し、常に正面から争わず論点をすり替える国の極めて不誠実な態度を裁判官に指摘し、論点をしぼって本質を見据えた裁判が行われるよう進行協議の必要性を訴えました。とりわけ、国が主張の中で再三に渡り「種々の事情に鑑みてーーー不指定とした」と繰り返しているが、具体的にどんな事情を根拠としているのか明確に示すよう強く求めました。それを受けて裁判長は次回期日を定め、11月13日まで求釈明を書面で提出するよう指示しました。次回期日は12月9日(水)、午前11時からこれまでと同じ202号大法廷で行われます。
裁判終了後、いつものように場所を大阪弁護士会館前に移し、報告会を開きました。丹羽弁護士が今回の口頭弁論全体を総括し、今後の訴訟方針について話されました。また、鄭文哲弁護士が準備書面と要旨陳述の内容について報告し、弁護団のメンバーたちが自己紹介し、今後の抱負を力強く語ってくれました。最後に無償化連絡会・大阪の長崎由美子事務局長が来る11月12日の裁判報告集会への参加を呼びかけ、さらなる支援活動の拡大を訴えました。