第19回口頭弁論

大阪府と市3名の行政担当貨者が「証人尋問」

■4月25日、補助金裁判第19回口頭弁論が行われました。前週の期日から引き続き、この日も多くの傍聴希望者が裁判所に駆けつけました。被告側から補助金支給に係る手続きや朝鮮学園との交渉に関わった当時の府市の行政担当者3名が証人として尋問を受けました。尋問は被告代理人による「主尋問」に次ぎ原告代理人による「反対尋問」の順に行われました。
■補助金支給停止までの行政手続きを経過に沿って自らの主張通りになぞっただけの主尋問と違って、原告側弁護団によって行われた反対尋問は事実を深く掘り下げ、問題の核心を追求するものとなりました。当時の大阪府担当者2名に対しては普門弁護士と原弁護士が、当時の大阪市担当者に対しては木下弁護士が主に尋問しました。学園と行政とのやり取りを細かく時系列に沿って振り返りながら手続き上の矛盾や、不支給の法的根拠を問い質す尋問が幾度となく繰り返され、突き詰めれば突き詰めるほど答えに窮する場面が増えました。とりわけ普門弁護士は尋問の中で、当時の大阪府知事が繰り返した暴力的発言を再現しながら、その政治的意図に満ちた内容が補助金不支給問題に及ぼした影響について厳しく追及しました。そんな中、証人は大阪府自らが定め公表していた「外国人政策に関する指針」について「知らない」と答えたり、発言を翻すなど事実との間に齟齬が生じる場面も増えました。それでも「交付要綱に基づいて判断した」と繰り返し、不都合な問題に関しては「分からない」、「記憶にない」とする証人の不誠実な態度は続きました。被告が意見書の中でも再三問題視してきた「特定の政治団体」や「学校行事としての参加」に関しても全く認識が曖昧で、これら不支給の理由が極めて「後付け」、「こじつけ」であるという事実が露呈するばかりでした。そもそも、不支給のもっとも大きな理由でもある「児童生徒らが参加した共和国での『迎春公演』が学校行事ではなかったという確証が得られるに至らなかった」と言う理屈が他ならぬ「悪魔の証明」で、「立証責任すら果たせないその様な口実を持ち出さざるを得なかったのは支給要件に対して議会からの政治的圧力が加わったからではないのか」と厳しく尋問を浴びせられただただ沈黙する場面もありました。大阪市に至っては「大阪市の補助金は府の補助を補完する」性格のものに過ぎないとして、常に府の判断に追従して来たと述べたものの、平成22年度に大阪府よりも二ヶ月早く交付決定を下した事実を厳しく追及されました。原告弁護団による飽くなき反対尋問を通して数々の矛盾が明らかになるなか、最後に裁判長から大阪市の担当者に質問がなされました。支給要綱の改定が証人本人の判断で決済されたことを確認した上で裁判長は「どういう理由で不交付としたのか?」と二度繰り返し問いました。証人が長い沈黙の後「分かりません。」とひと言だけ答えたところで、すべての尋問が終了しました。裁判長は今回の内容を書面にまとめ提出する事を確認し、次回期日を8月9日(火)午前11時からと定めて閉廷を告げました。

■裁判終了後、弁護士会館前で報告会が行われました。丹羽弁護士の総評に次ぎ、反対尋問に立った三人の弁護士らが紹介されました。大きな拍手で迎えられた三人は尋問の要旨と感想を述べました。また、今回はるばる東京から傍聴に訪れた東京弁護団の李春熙弁護士が紹介され、大阪の弁護団と支援者らに温かいエールを送ってくれました。そして裁判の勝利に向け、より一層の結束を強く訴えました。最後に「無償化連絡会・大阪」から大村淳さんが、来る6月11日に行われる田中宏先生・講演会への参加を呼び掛けました。