朝鮮学校の日常を映像で確認
2016年を迎え最初の裁判期日となる1月21日、大阪府・市補助金裁判第17回口頭弁論が行われました。身を刺すような厳しい寒さの中、この日も大勢の朝鮮学校関係者と卒業生、保護者や同胞、日本人支援者らが法廷に詰めかけました。今年夏頃の結審に向け無償化裁判と同様、最終段階に入った本件裁判にも多くの関心が寄せられています。前回期日で本件裁判長は原告の申請により朝鮮学校の現状を知るための映像視聴を改めて承認・確認しました。そして、1月12日に行われた「進行協議」での決定を受け、この日の上映となりました。裁判ではまず、原告側から原啓一郎弁護士が陳述を行いました。原弁護士は、今回法廷で上映される映像資料の概要を紹介しつつ被告が提出した書面への反論内容を陳述しました。被告の主張する補助金不支給の根拠がいかに差別的で矛盾したものかを改めて明らかにする内容となりました。陳述後、映像の視聴に移りました。朝鮮学校に対する原告の主張を締めくくる最後の証人尋問に先立ち、朝鮮学校に学ぶ子どもたちの真の姿を見せることは大変重要な意味を持ちます。14分間のDVD映像を裁判官、原告と被告代理人、傍聴者ら全員が視聴しました。府内に10校ある朝鮮学校の日常を収めた映像からは、差別的な施策と排他的な空気に支配された厳しい社会状況とはうらはらに、多彩な教育活動を通じて民族性を育みながら活き活きと学ぶ児童・生徒たちのはつらつとした姿が見られました。
映像視聴の終了後、裁判長は次回期日以降行われる「人証」について言及しました。当初、朝鮮学園理事長と鑑定意見書を書いた大学教授の二名のみと思われた原告側からは、保護者、当時の在学生、朝鮮学校現職の教員、前述の大学教授と学園理事長の五名が承認されました。また、被告側からも、当時「朝鮮学校補助金問題」に直接携わった大阪府と大阪市の担当者がそれぞれ証人として出廷することが決められました。直接、不支給問題に携わった当事者と、その決定により多大な精神的、物理的被害を被った当事者らが法廷で直接発言する機会となるこの決定は当裁判にとって大変大きな意義を持ちます。原告側5名の証人尋問が4月12日(火)午後1時半、被告側3名の証人尋問が4月19日(火)午後1時半と決められ裁判を終えました。(※後日、原告・証人尋問の期日が4月19日(火)に、被告・証人尋問の期日が4月25日(月)の同時刻にそれぞれ変更されました。)
裁判終了後、弁護士会館前で報告会が行われました。先ず、弁護団長の丹羽雅雄弁護士が今回の裁判を総括し、続いて映像資料について説明されました。最後に、無償化連絡会・大阪の長崎由美子事務局長から、来る2月13日、「大淀コミュニティーセンター」で行われる「朝鮮学校高校無償化・全国一斉行動 全国集会」についての告知がありました。昨年2月、東京で行われた全国一斉行動を引き継ぐ形で今年大阪が開催地となる同集会には、全国から朝鮮学校関係者、支援者らが集います。とりわけ無償化裁判の結審に向け大詰めを迎えた大阪と東京、愛知、広島、福岡から代表が参加し裁判報告が行われます。最終段階に差しかかった裁判闘争に弾みを付け、引き続き朝鮮学校支援の輪を広げるためにもこの集会にこぞって参加しましょうと長崎事務局長は力強く訴えました。そして、いよいよ人証に移る次回期日もぜひ傍聴し、証言台に立つ当事者らにエールを送ろうと呼び掛け、報告会を終わりました。