大阪府議団への申し入れ
4政党、8名の府議会議員と面談
去る2015年10月21日、府下10校の朝鮮学校に対する「大阪府外国人学校振興補助金」の交付復活を求めて、「無償化連絡会・大阪事務局のメンバーと朝鮮学校保護者代表らが大阪府庁を訪れ、各会派の府議会議員らと面談し、申し入れを行いました。
この日、申し入れのメンバーたちを出迎えたのは、自民、公明、民主、共産党に属する8名の府会議員たちでした。
まず、連絡会・大阪の藤永壮共同代表が、朝鮮学校のみを政治的ターゲットとした「補助金不支給」問題の経緯を辿りながら、国際社会における日本の人権状況、とりわけ民族的マイノリティーのための教育施策が非常に差別的で立ち後れているとの厳しい批判に晒されている現状を踏まえ、まずは府政を担う議員たち自らが民族教育の歴史と意義を深く理解するため積極的に朝鮮学校を訪れる努力をして欲しいと訴えました。その後、実際に子どもたちを朝鮮学校に通わせている保護者代表と日本人支援者の立場から順に発言しました。ある保護者は、朝鮮学校に通う子どもたちの進路が過去と違い多様化している現状から、将来、日本と朝鮮半島を結ぶ「架け橋」となり得る立派な人材を朝鮮学校は育てている。そんな学校を行政自らが差別するのは間違いだと訴えました。また、別の保護者は複数の子どもを朝鮮学校に就学させている逼迫した家計の状況を訴えつつ、全ての納税義務を果たしているにも関わらず教育助成を受けられないのは明らかな制度差別だと指摘しました。また、大阪朝高ラグビー部が大阪府代表として全国大会に何度も出場を果たしている事実に触れ、大阪の名を全国に轟かせている代表校を学校として認めていないのは矛盾していると訴えました。
また、朝鮮学校を支える立場として日本人支援者らも発言しました。補助金が不支給となった後、校舎も老朽化し教育環境を整えることもままならないばかりか、先生たちも厳しい生活苦と闘っている。子どもたちの明るい笑顔のため一刻も早く支給を再開して欲しいと求めました。
最後は長崎由美子事務局長が、地域社会と共生している朝鮮学校の様子を紹介しながら、多様性を重んじ様々な出自を持つ人々と絆を結んできた大阪が、全国に先駆け朝鮮学校に公的補助を行った歴史に鑑み、一日も早く補助金を復活させるため議会において尽力して欲しいと訴えて申し入れを結びました。
「訴訟の行方を見守る」としつつも民族教育への一定の理解も
各会派の府議らは、朝鮮学校に携わる関係者らの話に時折深く頷きながら、朝鮮学校を取り巻く厳しい現実と民族教育の持つ意義について真摯に聞き入りました。
申し入れに臨んだ朝鮮学校保護者代表と無償化連絡会・大阪のメンバー そして、子どもたちが学ぶ権利は等しく守られなければならないと言う立場は自分たちも何ら変わらないと言いました。但し、現在は同問題で「大阪朝鮮学園」と大阪府・大阪市は係争中という事情があるので、今は裁判の行方を見守らざるを得ないとも言いました。その他にも、府議らは発言の中で、朝鮮学校の教育は大変素晴らしいと讃え、自己の民族的アイデンティティーを守ることの大切さにも触れました。また毎週火曜日、補助金復活のため府庁前で行われている「火曜日行動」に参加した保護者や同胞、支援者らの力強い訴えと歌声はいつも自分たちに届いている言い、申し入れに訪れたメンバーらに明るい希望を与えました。各会派につき30分ずつという短い時間ではありましたが、申し入れに訪れた代表らは朝鮮学校を守り抜こうと、思いの丈を議員らにぶつけました。そして、今回の申し入れを通して、こどもたちの笑顔と明るい未来のために、より一層ちから強く運動を繰り広げる決意を新たにしました。
申し入れ書2015年10月21日大阪府民のための、日頃よりのご活動に心より敬意を表します。
私たちは「朝鮮学校の子どもたちから笑顔と夢を奪うな!」と活動をしている「朝鮮高級学校の無償化を求める連絡会・大阪」(以下連絡会・大阪と略す)です。「連絡会・大阪」は朝鮮学校保護者、弁護士、日本人支援者の3者で2012年3月に結成し、活動を続けています。
私たちの大阪府は日本で最も多くの在日韓国朝鮮人の方々が暮らす自治体として、全国に先駆けて朝鮮学校への補助金を支給し、共生のモデルを作ってきました。
ところが、橋下徹府政が誕生し、朝鮮学校への補助金支給を問題視し、文部科学省が高校無償化の対象から外したことを受け、四要件(①日本の学習指導要領に準じた教育活動をおこなうこと、②学校の財務情報を一般公開すること、③特定の政治団体と一線を画すこと、④特定の政治指導者の肖像画を教室から外すこと)を突き付けました。そして朝鮮学園側が四要件を全て認めたにもかかわらず、突然子どもたちの迎春公演参加を理由とし府議会決議を経て、2012年度よりすべての補助金を停止しています。
現在学校法人大阪朝鮮学園は補助金の再交付を求めて、2012年9月に大阪府・大阪市を被告に大阪地裁に提訴をしました。現在裁判は継続中ですが、補助金停止から3年が経過し学校運営の厳しさは日々増しています。
国連の人種差別撤廃委員会の「日本の定期報告に関する最終見解」では地方自治体の朝鮮学校に対する補助金停止について勧告が出されています。「特別の重要性を有する勧告として次回の定期報告で具体的な施策取組を説明せよ」と書かれています。
ぜひとも大阪府議会議員として国連人種差別撤廃委員会からのこの勧告を重く受け止めてください。また大阪朝鮮高級学校のラグビー部、東大阪朝鮮中級学校サッカー部が大阪府代表として全国大会出場など、大阪府の誇りとして活躍している朝鮮学校の子どもたちへの差別を1日も早くやめてください。
裁判の結審は来年になるようですが、ぜひ府議会議員の皆様におかれましては、「子どもの学ぶ権利を保障し、共に生きる大阪府を作る」という視点で、朝鮮学校への補助金再交付に取り組んでいただきたく、お願い申し入れをさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。