今こそ Scrum! 今こそ Try!

◆11月12日、北区民センター大ホールにて「今こそScrum! 今こそTry! 朝鮮学校を守るための裁判集会・大阪」が行われました。平日の夜にも関わらず会場には約500名の同胞、朝鮮学校関係者や保護者、卒業生、そして日本人支援者たちが集まりました。この度の集会は、大詰めを迎えつつある二つの法廷闘争を最後まで闘い抜くために、子どもたちが民族的アイデンティティーを育むウリハッキョの存在意義を再確認する場でもありました。講演と裁判、活動報告、そして韓国からの連帯メッセージを通して会場に詰めかけた参加者たちは一様に朝鮮学校を守り抜く決意を新たにしました。

新しい「ウリハッキョ応援ソング」を披露

■ 集会に先立ち、大阪朝鮮高級学校コーラス部のみなさんが美しい歌声を披露してくれました。曲目は「故郷の春の小川」。これは朝鮮の童謡「고향의 봄(故郷の春)」と日本の童謡「春の小川」を独自にミックスしたオリジナルのコラボ曲です。曲紹介でコーラス部の生徒さんは「日本の方たちと私たちチョソンサラム(朝鮮人)が互いに手を取り合い、共に歩む日が来ることを願いながら歌います」と言いました。参加者たちは生徒たちの願いが込められた澄み渡る歌声に耳を傾け惜しみない拍手を送りました。その後、大阪朝鮮歌舞団も加わり、この度新しく作られた朝鮮学校の応援ソング「モア(more)」が初披露され、会場の参加者らに歌唱指導も行われました。この応援ソングは大阪府下の全児童・生徒を対象に募集した詩に曲をつけて完成させた歌です。「♪〜共に歌おう、手を取り合って。共に駆け抜けよう、明るい明日に向かって〜♪」子どもたちの「ウリハッキョへの思い」が込められた希望に満ちた歌詞をひと言ずつかみしめながら参加者らは力強く歌いました。

なぜウリハッキョは「排除」されたのか?

■ 講演は「民族教育と排外主義」と題し、龍谷大学法科大学院教授であり、朝鮮学校襲撃事件裁判を支援する会・共同代表の金尚均(キム・サンギュン)さんが昨年12月に勝訴判決が確定した「京都朝鮮学校ヘイトスピーチ裁判」での経験を踏まえ、民族教育にかける熱い気持ちを語られました。金尚均さんは、この事件を日本社会で殺伐とした右傾化が歯止めなく進む中、ポピュリズムによる排外の表れと分析しつつ、保護者としての思いと、法律専門家としての視点を交え事件の本質について解説されました。お話しの中で金さんは当時を振り返り「あった事をなかった事にしてはならない。不当なことを不当であると示す。自己のアイデンティティーを回復する当然の権利として民族教育を守らねばならない」と言う一念で裁判を勝訴へ導いたと仰いました。また、これは我々在日コリアンだけの問題ではなく、むしろ日本社会の問題だと指摘されました。そして「まさに今、闘われている大阪の裁判問題も同根」だとしながら、必ず勝利を勝ち取るまで一緒に戦いましょうと訴え講演を締めくくりました。


二つの裁判経緯と今後の争点を解説

■ 講演に続き、係争中の二つの裁判について弁護団から報告がありました。まずは「補助金裁判」について金星姫弁護士が報告しました。金弁護士は大阪府、大阪市が長年に渡り大阪朝鮮学園に交付してきた補助金を不当な政治的理由で停止するまでの経緯を説明しつつ「単にお金を貰うための裁判ではない。失われた民族の尊厳を取り戻し、守るための闘いだ」と指摘しました。そして弟や妹たちが通う学舎を守るため全力で法廷に臨むと決意を語られました。続いて「高校無償化裁判」については京都のウリハッキョ卒業生である鄭文哲弁護士が報告しました。鄭弁護士は、なりふり構わず是が非でも朝鮮学校のみを無償化の対象から除外したい日本政府の思惑と、建前上、法的根拠を持たせるため用いた「策」について平易に説明しながら、それをいかに打ち崩すかが今後も大事なポイントになると指摘しました。そんな国の理不尽な主張がまかり通る事を決して許してはならない。絶対に負けてはいけない裁判だと言い、ウリハッキョ、弁護士、支援者らが一丸となって勝利を勝ち取ろうと力強く訴えました。


全国オモニ連絡会・文科省要請活動の報告

■ 去る9月12日、全国の朝鮮学校に子どもを通わせている850名の母親たちが一堂に会し大阪朝鮮高級学校で行われた「第10回中央オモニ大会」において全国オモニ連絡会の代表団が結成されました。その代表団は同大会で採択された下村博文文部科学大臣(当時)宛の「朝鮮学校への『高校無償化』制度即時適用を求める要望書」を携え、同月18日、「文科省前アクション」に参加しました。その時の様子を代表団メンバーがスライド写真を見ながら報告しました。まずは大阪オモニ連絡会代表の玄さんが今回の要請活動に込められた意義と概要について説明し、次いで大阪朝高オモニ会の金会長が、まさに「分刻みのスケジュール」で敢行された東京での要請活動の内容を報告しました。そして東中オモニ会の金会長が、要望書を手渡すために訪れた文科省での不誠実な対応や民族教育に対する認識の低さを厳しく指弾し、ウリハッキョに対する自身の思いや要請行動に参加した感想を熱く語りました。最後に、文科省前の「金曜行動」で学生達が歌う「声よ集まれ、歌となれ」を合唱し、勝利を勝ち取るまで共に闘い抜こうと力強くアピールしました。


同胞レスラーと韓国からの連帯メッセージ

■ 集会には二組のゲストが登場しました。まずはサプライズゲストとして北海道朝鮮学校卒業生のプロレスラー、リ・ジェギョンさんが登壇しました。ジェイク・リーのリングネームに改め、去る6月4日、後楽園ホールで再デビュー戦を勝利で飾った李さんは「苦しい時もリングで頑張れるのは、皆に元気を与えたいから」だと語り、「皆さんも同じ。守るもののためならきっと勝てる。一緒に頑張りましょう!」と心強いエールを送ってくれました。続いては韓国から「ウリハッキョと子どもたちを守る市民の会」の皆さんが登壇しました。同会共同代表のソン・ミフィさんは「異国・日本の地で民族性を失わず、自尊心を守り続けている同胞の皆さん」に敬意を払い、「わが同胞と子どもたち。そして朝鮮学校を守るために活動しておられる日本の皆さんに感謝します。」と挨拶し、日本の活動に足並みを揃えてソウルの日本大使館前で行っている「金曜行動」が45回を越えたと報告されました。そして、今般の裁判に必ず勝利し朝鮮学校を守り抜こう、これ以上子どもたちに苦痛を与えない社会、差別の根絶された社会を共に築こうと強く訴えました。


共同代表の宇野田尚哉さんがまとめの挨拶

■ 連帯挨拶の後、会の始めに歌唱指導が行われた朝鮮学校応援ソング「モア(more)」を会場の全員で合唱しました。参加者らは大詰めを迎えた裁判を勝ち抜くため歌声に力を込め気勢を上げました。そして集会の最後に「無償化連絡会・大阪」の共同代表、宇野田尚哉さんがまとめの挨拶をしました。宇野田代表は講演をしてくれた金尚均氏とはるばる韓国から激励に訪れてくれた「ウリハッキョと子どもたちを守る市民の会」のメンバー、リ・ジェギョン氏らに感謝の意を伝え、今回の集会を総括しました。宇野田さんは「法廷では杓子定規な法の解釈のみで朝鮮学校差別の問題を取り扱われる危険性がある。民族教育の歴史性や地域社会とのつながり、それらから導き出される朝鮮学校存在意義を最大限前面に押し出して行く必要がある。弁護団の皆さんが非常に頑張ってくれているが法廷の外からも、もっと力強くサポートすることが何よりも大切だ」と指摘し、裁判開始から数年を経てもなお、未だに子供たちの民族教育を受ける権利が侵害されている事を肝に銘じ、我々が一丸となってこれまで以上に尽力して行こうと最後に訴え、集会を終えました。