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補助金裁判18回口頭弁論

■去る4月19日(火)、大阪地裁の大法廷において18回目となる補助金裁判口頭弁論が行われました。
この日は、「証拠調べ」としてかねてより原告が申請していた「証人尋問」が行われました。13名の申請に対し裁判所が認めたのは原告側5名。様々な立場から朝鮮学校に携わる当事者らが思いを述べました。開廷後、裁判長から説明を受け「宣誓」をした証人らが順次一人ずつ証人席に座り、原告側代理人による主尋問と被告側代理人による反対尋問が行われました。
■原告側尋問の一人目は、一昨年同裁判において大阪府下全10校の朝鮮学校保護者を対象として実施されたアンケート調査の結果について鑑定意見書を書いた大阪市立大学・伊地知紀子教授。アンケートを通じて浮き彫りとなった朝鮮学校に学ぶ子どもたちと保護者らの実態をもとに、朝鮮学校の多様性、厳しさを増す財政状況などについて証言しました。そして、補助金支給に至る経緯を全く無視し、交代した首長が「場当たり的判断」で不支給とした事実は差別に等しいと指摘しました。そして伊地知教授は尋問の最後に、裁判所に伝えたいこととして「全世界の国民が…平和のうちに生存する権利を有する」と宣言した日本国憲法の前文を引用しつつ、同文に立脚し様々な国際人権法を批准した日本国において大阪府と市の施策は特定の国家、民族を理由に差別するものだと断じました。そして同法廷に対し厳正な判断を望むと述べられました。
■二人目の証人は、実際に3人の子供を朝鮮学校に就学させた保護者です。日本国籍を有する自らの体験から、朝鮮学校が日本と地域社会のニーズに沿って多様化し、歴史や伝統を重んじつつも新たなコミュニティーを形成している事実を語りました。そして補助金が不支給となった現実について、納税義務を果たしている市民として子供の教育上、差別されていることに強い怒りを覚えると訴えました。
■三人目の証人は、朝鮮学校の生徒です。幼稚班から民族教育を受け、現在東京の朝鮮大学校に在籍する証人は、朝鮮学校を民族の心と言葉を植え付けてくれる「自分の居るべき場所」と表現しました。そして、高校無償化制度からの除外や、補助金の不支給は「当たり前が当たり前ではない状態」とし、裁判官たちに「私たちを心の目でしっかり見て欲しい」と強く訴えました。
■四人目は、大阪市内の朝鮮学校で教鞭を執る現職の教員です。母国語を土台として確かな学力を育てること、民族のルーツを知り自分の生き方をしっかりと考えられる子ども、地域社会と同胞社会の発展に貢献できる人材の育成を心掛けて教育していると語った証人は、実際に日々行われている朝鮮学校の教育が日本の公教育と何ら変わらない内容と水準を有している現実について証言しました。
■最後の証人として尋問に臨んだのは大阪朝鮮学園理事長でした。理事長は、丹羽弁護団長の主尋問に答えながら学園の運営や定款などについて説明し、朝鮮学校の教育理念が、母国語をはじめとした民族的アイデンティティーの涵養と同時に国際化時代の要求に即したものであると証言しました。また、朝鮮学校の存在意義が教育機関のみに留まらず同胞社会の大切なコミュニティーとなっている現実について語りました。そして、大阪府と大阪市の要請に対して常に真摯に対応し、答えてきた朝鮮学園の態度とは裏腹に、一方的に支給を打ち切った行政の在り方を強く批判しました。主尋問の後、反対尋問が行われました。府と市の代理人らによる尋問は理事長に集中しました。その内容は、補助の直接的な対象であるはずの朝鮮学校の実態や子どもたちの学ぶ姿、保護者らの思いや歴史的経緯などとは全くかけ離れた極めて恣意的な問題に偏っていました。「特定の政治団体」、「不当な支配」など過去の期日で繰り返されてきた同様の質問に毅然と答えた理事長は、歴史ある朝鮮学校の民族教育がこの法廷で認められ、子どもたちを苦しめる差別が一日も早く取り払われることを願うと最後に力強く訴えました。
■4時間近くにも及ぶ長い裁判は、翌週の次回期日(4/25)に被告側・証人尋問が行われることを確認して終わりました。
■閉廷後、弁護士会館前で報告会が行われました。丹羽弁護団長は、大勢の傍聴に感謝しつつ、次回の被告側証人尋問にもより多く駆けつけるよう呼び掛けました。そして、本裁判終結に向け更なる支援を訴えかけました。