作者別: renrakukai-osaka

イオ編集部が「高校無償化裁判」の書籍を出版

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・大阪地裁での歴史的「全面勝訴判決」を他の裁判闘争と全国の朝鮮学校支援の運動に広めよう!

『大阪で歴史的勝訴――高校無償化裁判 たたかいの記録vol.2』

高校授業料無償化・就学支援金支給制度から排除された朝鮮高校の生徒らが国を相手取って裁判を起こしてから4年半。日本全国5ヵ所で係争中の裁判のうち、今年に入って広島、大阪、東京の各地裁で判決が下されました。

7月28日には、大阪では大阪朝鮮高級学校を就学支援金の支給対象に指定するよう国側に命じる原告全面勝訴の判決が言い渡され、一方、広島と東京では原告全面敗訴の判決が下りました。

イオ編集部は、大阪での歴史的な勝訴判決を受けて、15年7月に出版した『高校無償化裁判~249人の朝鮮高校生 たたかいの記録』の続編を出版します。

書籍タイトルは、『大阪で歴史的勝訴――高校無償化裁判 たたかいの記録vol.2』

本書では、大阪、東京、広島の各裁判の判決当日のルポや判決要旨、解説を、地裁審理が継続中の愛知、九州の裁判については現状を整理。裁判に関する基本情報をまとめたQ&Aや大阪と東京の原告側弁護士の対談も収録しています。

完成は東京で「朝鮮学校の子どもたちに学ぶ権利を!全国集会」が開かれる10月25日。

地裁から高裁へと裁判はまだ続きます。最終的な勝訴に向けて、無償化裁判のすべてがわかる本書をぜひご活用ください。

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書籍タイトル:『大阪で歴史的勝訴――高校無償化裁判 たたかいの記録vol.2』
月刊イオ編集部編○発行:樹花舎、発売:星雲社 500円+税、A5版、80ページ

※詳細は「日刊イオ」のサイトで → http://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/10777d8a7da831d11ddf136ea0b3847c

Categories: 裁判

民族教育のためにつないできたバトン

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統廃合のため、県に唯一の朝鮮学校がすでに門を閉ざした鳥取県で、民族教育を支援する取り組みが今もなお続いている。
朝鮮新報に取り上げられた記事の一部を以下に紹介する。

民族教育のためにつないできたバトン / 30回目を迎えた鳥取県チャリティーゴルフコンペ
〜 一人が十人分を 〜

 山陰地方で唯一の朝鮮学校である「山陰朝鮮初中級学校」が1999年、倉敷朝鮮初中級学校(当時、現「岡山朝鮮初中級学校」)に統合された。その後も山陰地方の同胞たちは民族教育のために愛のこもった惜しみない援助を変わりなく続けてきた。「第30回民族教育を支援する鳥取県チャリティーゴルフコンペ」が去る10月3日、同県西伯郡のゴルフ場で行われた。…ここに同胞たちと日本市民124名が参加した。収益金は岡山と広島の朝鮮学校と、山陰地方の青年商工会が主催する「土曜児童教室(在日コリアンをルーツに持つ子どもたちの中で日本の学校に通う児童たちを対象に、毎週土曜日、民族の言葉や文化を学ぶ自主運営の教室)」の運営費に充てられる。
 元来、山陰朝鮮学園を支援する目的で始まったチャリティーゴルフは約10年の間、学校所在地である島根県と隣接した鳥取県で隔年で行われてきた後、二つの県でそれぞれ単独開催されるようになった。各団体で実行委員会を立ち上げた鳥取県では98年から県の商工会が主導で組織運営してきた。
 地域の同胞数が約1千人(現在)である鳥取で毎年チャリティーゴルフを開催するのは容易ではない。同胞数が多い地方に比べると「鳥取県では一人が十人分の仕事をしなければならない。」と、ある同胞が言う。ときには「何年かに一回の開催にしてはどうか。」という声も聞こえる。
 「それでも結局は『活動として毎年続けなければいけない』という意見が大勢を占めるてきた。もし、1年でも空白が生じたらどうなっていたことか…。」県商工会のシン・ヒョンド理事長は熱心な同胞たちが一心団結して苦難を乗り越えてきた道のりを振り返る。
 この地の同胞たちは地域に朝鮮学校がないとしても自分と子どもたちをまっとうな朝鮮人として育ててくれた民族教育に対する感謝の気持ちを常に抱いてきた。毎年、チャリティーゴルフの参加者たちのために食事を準備する女性同盟メンバーの中には他の地方出身女性も少なくないが、彼女らは口々に言う。「『ウリハッキョ』のためなら惜しいものはない。」
 県商工会のヨ・ジョンス理事によれば毎年チャリティーゴルフを組織するにあたり、地域に根ざした対外事業が不可欠だと言う。「いくら情勢が厳しくても日本の人たちと常にふれあい、信頼関係を築いてきた。」また、ゴルフ当日には広島朝鮮歌舞団の公演などを通じて朝・日友好親善を促している。そういった過程で日本の人たちの間に朝鮮学校に対する関心が深まり支持の輪が拡大されている。
 元鳥取県教職員組合委員長の加藤和徳氏(日朝学術教育交流協会)はチャリティーゴルフに10回以上参加してきた。彼がイベントを積極的に支持する背景には「日本人たち自身が植民地支配の責任を取らなくてはならない。」との使命感もあるが、それよりもなお彼の心を揺さぶるのは「同胞の子どもたちのために奮い立つ大人たちの熱い姿」だった。
 商工会会員たちと交流が深い井上敦文氏は「国と国の関係を飛び越えた民間交流が大切だ。困っている友だちを助けてやるのが本当の『親友』だ」と言う。
 毎年、チャリティーゴルフ参加者のうち70%を日本人が占める。過去最大規模は2004年。参加数は180名にのぼった。

……

日本の各地で、同胞たちと日本の方々の「交流の輪」、「連帯の輪」がウリハッキョを、子どもたちを支え続けている。

Categories: 朝鮮学校

筋違いの懲戒請求 〜各地の弁護士会へ〜

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制度の乱用も甚だしい。
本来、弁護士個人の資質を問う目的で、弁護士会の「調査」と「処分(戒告、業務停止、退会命令、除名)」を求めるのがいわゆる「懲戒請求」だ。
ところが、広島、大阪、東京での訴訟判決を目前に控えた6月以降、朝鮮学校への高校授業料無償化の適用、補助金交付などを求める声明を出した全国の弁護士会に対し、弁護士会長らの懲戒を請求する文書が殺到していることが分かった。
以下は、この件を報じた2017.10.12付 毎日新聞からの引用。

 各地の弁護士によると、請求は今年6月以降に一斉に届いた。現時点で、東京約1万1000件▽山口、新潟各約6000件▽愛知約5600件▽京都約5000件▽岐阜約4900件▽茨城約4000件▽和歌山約3600件--などに達している。

 請求書では、当時の弁護士会長らを懲戒対象者とし、「違法である朝鮮人学校補助金支給要求声明に賛同し、活動を推進するのは犯罪行為」などと主張している。様式はほぼ同じで、不特定多数の賛同者がネット上のホームページに掲載されたひな型を複製し、各弁護士会に送られた可能性が高い。

 請求書に記された「声明」は、2010年に民主党政権が高校無償化を導入した際に各弁護士会が朝鮮学校を含めるよう求めた声明や、自民党政権下の16年に国が都道府県に通知を出して補助金縮小の動きを招いたことに対し、通知撤回や補助金交付を求めた声明を指すとみられる。

 各弁護士会は調査や処分の要否の検討を進めており、一部の弁護士会は「非行に当たらない」として請求を退けた。日本弁護士連合会は「各弁護士会が法と会規に基づいて判断する」としている。

 村岡啓一・白鴎大教授(法曹倫理)は「懲戒請求は弁護士であれば対象となるのは避けられない。ただ、今回は誰でも請求できるルールを逆手に取っている。声明は弁護士会が組織として出しているのだから、反論は弁護士会に行うべきだ。弁護士個人への請求は筋違いで制度の乱用だ」と指摘している。

そして、以下がその続報。

 朝鮮学校への支援を求める各弁護士会の声明に大量の懲戒請求が届いている問題。請求文書のひな型が掲載されるなどインターネットが引き金になっており、ネット上では声明を「利敵行為」「犯罪行為」と非難するなど排他的な空気がうかがえる。

「声明は明らかに紛争当事国への利敵行為」。あるサイトでは朝鮮学校への補助金は北朝鮮を利するとの主張を記し、賛同を求める書き込みもある。懲戒請求書のひな型には弁護士名などをあらかじめ記している。

 和歌山弁護士会は昨年9月、外交・政治問題を理由とした朝鮮学校への補助金停止は差別を禁じた憲法などに反するとして声明を発表した。その後、当時会長だった藤井幹雄弁護士らへの懲戒請求が約3600件届いた。藤井弁護士は「形を変えたヘイトスピーチで、弁護士会活動への圧力になりかねない」と訴える。

稚拙だが用意周到な扇動行為。ネットを介した朝鮮学校差別との闘いは「いたちごっこ」の側面もあるが、決して放置してはならない。

Categories: 未分類

“One Team”大阪の優勝に貢献

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9月30日から愛媛県で行われている「第72回国民体育大会」(国体)の少年男子ラグビー部門で、大阪が見事優勝した。
高1時代、230人から始まったセレクションを経て、23人まで絞られた選抜チームに大阪朝鮮高級学校ラグビー部から3名の選手が選ばれた。その3名は大会全試合に出場し、優勝に大きく貢献した。
また、東京朝高ラグビー部員1名が東京の地域代表に選出された。

大会は15チームによるトーナメント戦。大阪は1回戦で神奈川に35-7、2回戦で石川に12-7、準決勝で島根に42-14、決勝で京都に31-12で勝利し、優勝を飾った。チームが掲げたキーワード“One Team”にふさわしい「団結力」で全試合快勝した。

チームの監督や、他校から参加したチームメイトたちの信頼は厚く、民族や文化を飛び越えて“One Team”として最後まで共に戦う中で確かな連帯感が生まれた。それでもこの大会が終われば「花園」を競い合うライバル。強豪校同士、練習や試合から感じ取った「意識の高さ」は互いの刺激となり、収穫となった。

今大会には四国初中の児童、生徒たちが激励のメッセージを書いた色紙を持参して応援に駆けつけた。「どこに行っても同胞たちが応援してくれる。一つひとつのサポートが本当に力になる」。大阪朝高キャプテンは大きな期待に応えるため、大阪朝高として「全国大会」の舞台を目指し、気持ちを切り替えて練習に励んでいきたいと語った。

Categories: 朝鮮学校

ヘイト政治家データベース

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10月22日の衆院議員選挙に合わせて、反差別を掲げる学生団体(反レイシズム情報センター・ARIC)が10月3日、立候補予定者らの過去の差別やヘイトスピーチにあたる発言を集めた「ヘイト政治家データベース」を公開した。
データベースの元になっているのは、「ARIC」がこれまで集めて公開していた政治家の発言集。公開時点で掲載されている候補者の発言は、自民48人、民進12人、他5人(政党は解散前)となっているそうだ。発言の判定には、人種差別撤廃条約とヘイトスピーチ解消法が基準とされた。また、新聞などで報道されたもの、発信者が確認できたネット上での発言など、証拠があるものだけを掲載するなど、データベースは「定義とデータ公開の原則」に沿って制作されている模様。
さっそくWebサイトを閲覧してみると、堂々トップページに挙げられている自由民主党所属衆議院議員の発言がひときわ目を引く。
2016年2月18日、自身のブログに掲載したという荒唐無稽で差別にまみれた発言を以下に引用する。

”昨日は、北朝鮮への独自制裁、拉致事件関連の会議が2時間。独自制裁に、朝鮮学校への都道府県、地方自治体からの補助金をストップする旨の提案がなされませんでしたが、文科省が初めて、通達等によりこれを検討する答弁をしました。もう一歩です。 平成25年度都道府県からは合計約1億7000万円、市町村からは合計1億8000万円合計、全国で約3億5000万円が朝鮮学校に支払われています。これらが、北朝鮮に送金されているという疑いを排除することはできません。 公安調査庁の国会答弁で、朝鮮総連は「朝鮮学校の教育内容、人事、財政に影響を持つ」とされています。本日の会議で朝鮮総連の工作員は7万人程度いるという答弁があり、「7万人程度には朝鮮学校関係者が含まれているか?」という私の質問に「その理解で結構です」との答弁がありました。 朝鮮総連と朝鮮学校を同一視する見方が必要です、言わずと知れたことですが、、、。 今回の独自制裁の発動に朝鮮学校の補助金禁止を入れ込むよう、皆さんの世論という後方支援を頂きたく存じます。

なお、サイトには以下のような解説が付記されている。

「朝鮮学校ー朝鮮総連ー工作員」というネトウヨが好んで用いる図式を垂れ流しています。「工作員」という言葉を用いることで、「国家の敵」であると規定し、強力に差別を扇動する効果があります。北朝鮮への経済制裁を利用し、全く無関係な日本の朝鮮学校の子供たちに対する差別扇動を行なっています。

離合集散の果てに政局は混迷を極めるばかりだが、玉石混淆の候補者たちから貴重な一票を託すにふさわしい政治家を見極める手だてとしてほしい。
Webサイトのサブタイトルにはこう書いてある。
「衆院選で、あなたの一票が『ヘイト』に使われないために。」

Categories: 未分類

新米到着

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21年目を迎えた草の根の朝鮮学校支援活動。
「1%の底力で朝鮮学校の民族教育を支える会」が中心となり、「朝・日親善平和の糧」と銘打ったイベントを企画。朝鮮民主主義人民共和国への人道支援活動として収穫したお米を送ったのが始まりです。やがて、日本政府による「経済制裁」により民間支援の道さえも閉ざされてしまいましたが、地域社会での「朝・日親善交流」及び南大阪朝鮮初級学校(企画開始当時は「西大阪朝鮮初級学校」)児童たちの「農業体験課外活動」としてこれまで続けてきました。
今年5月21日には同会のメンバーに加え、地域同胞や学校児童たちも参加し「田植え」が行われました。

そして季節は移り収穫の秋。去る9月25日、たわわに実った稲は刈り取られ、10月3日に同会の伊関要さんが新米をハッキョに届けてくださいました。
今年は天候にも恵まれ5月に植えた苗がすくすくと育ち120㎏も取れました。
校長先生に贈られたお米は、まずは学校給食として児童、園児たちに振る舞われ、毎年秋の恒例行事「カウルマダン(秋祭り)」で格安販売もされます。
収穫された稲のように朝鮮学校との交流は、地域社会にしっかりと根を下ろし毎年素晴らしい実りをもたらしています。

Categories: 朝鮮学校

全面勝訴と最悪の不当判決

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韓国のインターネット新聞『PRESSian(プレシアン)』2017年10月3日付に掲載された「無償化連絡会・大阪」藤永壯共同代表の文です。
ご本人の承諾をいただき、日本語オリジナル原稿(一部修正)を全文ご紹介します。

 

全面勝訴と最悪の不当判決 ~判断の分かれた朝鮮学校「無償化」裁判~

日本政府が教育の機会均等を目的に創設した「高校無償化」制度の適用対象から、日本全国に10校ある朝鮮高級学校の生徒だけを除外したのが2013年2月。あれからすでに4年半の歳月が経過した。
この不当な差別措置に抗議して、大阪、愛知、広島、九州、東京の5つの朝鮮高級学校の生徒あるいは学校法人が、国を相手に訴訟を起こした。長く困難な裁判闘争の末、今年に入ってようやく広島、大阪、東京の3地域の地方裁判所で判決が宣告されている。このうち大阪の判決(7月28日)では原告が全面勝訴する画期的な成果を収めたものの、広島(7月19日)と東京(9月13日)では原告敗訴の不当判決が言い渡される正反対の結果となった。
私は日帝植民地支配の時期を中心とする朝鮮近現代史の研究者であり、日本の朝鮮に対する植民地支配政策の犯罪性については熟知している。また在日朝鮮人に対する日本政府の容赦ない弾圧、抑圧の歴史についても頭では理解しているつもりであった。しかしこのたびの各地の裁判の進行過程や結果を見ながら、日本国家がまさしく植民地主義的な価値判断基準から、手段と方法を選ばずに在日朝鮮人の民族教育を否定しようとする姿に、自らの認識の甘さを痛感しているところである。私は民族差別政策の何たるかを、実はまるで理解していなかったのだ。しかしだからこそ、司法が民族教育の意義を初めて正面から認めた大阪地裁判決に、一筋の希望を見出すべく努めなければならない。

無償化適用を阻んだ「不逞鮮人」観

各地の高校無償化裁判で被告の国が主張している筋書きを簡単に述べると、「北朝鮮や朝鮮総聯」の「不当な支配」を受けている疑いがある朝鮮学校に就学支援金を支給すれば、支援金が「北朝鮮や朝鮮総聯」に流用される疑いがあるので朝鮮高級学校を不指定にした、というものである。広島と東京の判決はともにこれを追認し、原告敗訴の不当判決を下した。
しかし、このような国の主張はウソである。第2次安倍晋三政権は発足直後、まず朝鮮学校を高校無償化制度から排除するため、朝鮮高級学校の指定を念頭に置いた根拠規定を削除する文科省令改悪を行った。その理由が政治的外交的判断によることは、たとえば2012年12月28日の下村博文文部科学大臣(当時)が記者会見で「朝鮮学校については拉致問題の進展がないこと、朝鮮総連と密接な関係にあり、教育内容、人事、財政にその影響が及んでいること等から、現時点での指定には国民の理解が得られず、不指定の方向で手続を進め」ると述べたことなどから、火を見るよりも明らかである。「不当な支配」云々は、政治的外交的理由による根拠規定削除の措置が教育の機会均等をうたった無償化制度の目的に反することを、政府自身がよく知っていたために後付けした理屈に過ぎない。
だが審理の過程で、国側は根拠規定の削除に争点が集中することを避けるため、多くが伝聞情報に過ぎない産経新聞の報道や、治安管理政策の意義を強調するための公安調査庁の報告書などをもとに、朝鮮学校の教育が朝鮮総聯の「不当な支配」のもとで実施されていると強調した。とくに公安調査庁の報告書は、朝鮮学校教職員・生徒や日本人支援者の高校無償化適用を訴える活動さえ、朝鮮総聯の使嗾によるものと決めつけている。そして広島・東京両地裁は、こうした公安機関の偏見に満ちた「分析」をも「法によって設置された国家機関であり……一定の調査、分析能力を備えた組織」によるものと認め、証拠として採用したのである。
このように高校無償化制度不適用という朝鮮学校への差別政策を正当化したのは、実に国家による治安管理の思想であった。本来、教育行政のあり方をめぐる争いであったはずのこの裁判を、在日朝鮮人に対する治安対策という論点へと引きずり込もうとしたのが国側の戦略であった。つまるところ日本の公安機関に戦前以来、根強く巣くう「不逞鮮人」観にもとづく差別意識が、朝鮮高級学校への無償化適用を阻む壁として立ちはだかったのである。

「結論ありき」の国策判決

もちろん、かりに「不当な支配」について云々したとしても、朝鮮学校が就学支援金を不正受給する「疑いがある」というだけで、不指定が正当化されることなどあってはならない。しかし結局、広島・東京両地裁は国側の思惑に乗った判決を下した。
とくに東京の原告弁護団は、朝鮮高級学校が無償化制度から排除された過程を綿密に分析し、また証人尋問では文科省の当時の担当者を徹底的に追い込んで、朝鮮高級学校の根拠規定を削除し不指定とした真の理由が、政治的外交的判断によることを論証した。朝鮮高級学校に対する不指定が違法であることの動かぬ証拠を突きつけたのだ。
ところが「不当な支配」論に与した東京地裁は、治安政策的な観点から文科大臣の判断を適法と認め、政治的外交的判断による根拠規定削除については明確な理由を示さないまま「判断する必要がない」と突き放した。原告弁護団の主たる主張は無視し、全く応答しない侮辱的で無礼きわまりない「結論ありき」の判決だったのだ。任期が十分に残っていたはずの前裁判官が、結審直前に交代させられるという異例の措置に対して、疑いの目が向けられるのも当然である。
それでも東京地裁の場合は、文部科学大臣の判断を「不合理なものとまで言うことはできず」と述べるにとどまっていた。ところが広島地裁では、朝鮮学園が「過剰に就学支援金を代理受領」した場合でも「不当な働きかけ等により」「そのような事態が公にならない可能性も否定できない」という国の主張を「証拠により、認めることができる」とまで言い切っているのである。つまり広島判決は事実上「朝鮮人は信用できないから就学支援金を支給できない」と述べているに等しく、判決当日夕方に開かれた判決報告集会で、足立修一・原告弁護団長が「朝鮮学校の子どもたちに対する差別意識丸出しのヘイト判決」と厳しく指弾したのも当然であろう(「広島“ヘイト判決”:逆転勝利を誓った再出発の日」『月刊イオ』第22巻第9号、2017年9月、7頁)。

大阪判決の歴史的意義

一方で、大阪地裁は国に対し、大阪朝鮮高級学校への就学支援金支給に関する不指定処分の取消しと、同校への指定を命じる原告全面勝訴の判決を言い渡した。争点となった朝鮮高級学校指定に係る根拠規定削除については、下村文科大臣が裁量権を逸脱、濫用したもので違法であるとし、また大阪朝鮮高級学校は適正な学校運営を求めた「規程」第13条に適合するという判断を示した。「不当な支配」に関わる国側の主張は退けられ、広島・東京判決とは正反対の、歴史に記されるべき画期的な判決が宣告されたのである。
判決は、下村文部科学大臣が「教育の機会均等の確保とは無関係な外交的、政治的判断に基づいて」根拠規定を削除したことは、高校無償化法に定められた委任の趣旨を逸脱していると明確に認定した。また「規程」第13条適合性の判断、とくに「不当な支配」の判断について、文部科学大臣の裁量権は認められず、この争点に関わる国の主張の多くが「合理的根拠に基づくものであることの主張立証がない」と結論づけた。
そのうえで判決は、朝鮮学校と朝鮮総聯との関係、在日朝鮮人にとっての民族教育の意義を次のように述べている。
……朝鮮総聯は、第二次世界大戦後の我が国における在日朝鮮人の自主的民族教育が様々な困難に遭遇する中、在日朝鮮人の民族教育の実施を目的の1つとして結成され、朝鮮学校の建設や学校認可手続などを進めてきたのであり、朝鮮学校は朝鮮総聯の協力の下、自主的民族教育施設として発展してきたということができるのであって……このような歴史的事情等に照らせば、朝鮮総聯が朝鮮学校の教育活動又は学校運営に何らかの関わりを有するとしても、両者の関係が我が国における在日朝鮮人の民族教育の維持発展を目的とした協力関係である可能性は否定できず、両者の関係が適正を欠くものと直ちに推認することはできない。また、朝鮮高級学校は、在日朝鮮人子女に対し朝鮮人としての民族教育を行うことを目的の1つとする外国人学校であるところ……母国語と、母国の歴史および文化についての教育は、民族教育にとって重要な意義を有し、民族的自覚及び民族的自尊心を醸成する上で基本的な教育というべきである。そうすると、朝鮮高級学校が朝鮮語による授業を行い、北朝鮮の視座から歴史的・社会的・地理的事象を教えるとともに北朝鮮を建国し現在まで統治してきた北朝鮮の指導者や北朝鮮の国家理念を肯定的に評価することも、朝鮮高級学校の上記教育目的それ自体には沿うものということができ、朝鮮高級学校が北朝鮮や朝鮮総聯からの不当な支配により、自主性を失い、上記のような教育を余儀なくされているとは直ちに認め難い。
このように大阪地裁判決は、司法の場で朝鮮学校における民族教育の意義が初めて正面から認められた歴史的な判決となった。

新たな段階に入った裁判闘争

広島・東京の判決は、行政の朝鮮学校差別政策を、司法が自らの権威や信頼性を損なうことも厭わずに、杜撰な論理で追認するものだった。このような不当判決を許してしまえば、日本国家は自らが恣意的に「反日」のレッテルを貼った個人、集団に対し、安心して差別政策を取ることだろう。裁判に訴えられたとしても、司法が正当化してくれるのだから。
すなわち朝鮮高級学校への無償化制度不適用は、もはや民族差別という枠組みにとどまらず、日本の民主主義や人権、そして司法の独立が重大な危機を迎えていることを、白日の下にさらしたのである。不当判決を下した裁判官は、恥ずべき国策判決の張本人として歴史の1ページに記録されることを自覚しなければならない。
とくに大阪で画期的な判決が出た後だけに、権力のお膝元である首都東京の判決内容は異常さが際立つことになった。排外主義を煽って差別政策を正当化しようとする国の意思はすでに明白である。無償化裁判の行方に対する日本社会の関心は必ずしも高いとは言えないものの、全国紙の朝日新聞のほか、東京新聞、神奈川新聞、信濃日日新聞、京都新聞などの地方紙は東京判決の不当性を厳しく批判する社説や解説記事を掲載している。
さて広島では8月1日に、東京では9月25日に原告が控訴し、朝鮮学校の関係者や支援者たちは不屈の闘志をもって、逆転勝訴に向けての活動をはじめている。一方、大阪判決に対しては8月10に国が控訴しており、国家の総力を挙げての攻撃が予想される。また来年には、愛知と九州で判決が言い渡される見込みである。
闘いはまだまだこれからだ。

Categories: 裁判

朝鮮学校・秋のイベント

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◾️大阪府内10校の朝鮮学校で催される「秋の企画」をご紹介します。直接見て、聞いて、朝鮮学校を身近に感じとって下さい!

※各イベントの詳細は、直接学校までお問い合わせ下さい。

Categories: 朝鮮学校

青年たちの全国同時緊急街頭宣伝

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在日本朝鮮青年同盟が、先の「大阪・高校無償化裁判」の全面勝訴判決を大々的に支持するとともに、広島と東京での不当判決に断固反対し民族教育を守り抜くため、全国同時緊急行動を行います!
大阪では本日9月30日(土)に大阪駅周辺で街頭宣伝。
若い力をひとつに結集し、朝鮮学校の素晴らしさを強く、強く訴えましょう!!

Categories: 活動

大阪アクション in 天王寺

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◾️来たる10月25日(水)、午後6時30分からJR天王寺駅前で「大阪アクション in 天王寺」と題して、街頭宣伝行動が行われます。
民族教育と朝鮮学校の正当性を広く訴え、先の「大阪・高校無償化裁判」において下された全面勝訴判決の意義を広めるため、今こそ皆のちからをひとつに結集しましょう!!
すべての子ども達に「等しく学ぶ権利」を!!

Categories: 活動