声明「最高裁判所による 大阪朝鮮学園の上告棄却に対して断固抗議する」

2019829

朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪

学校法人大阪朝鮮学園が国を相手取り、いわゆる「高校無償化」制度にもとづく就学支援金支給の不指定処分取消しと、同学園の指定義務づけを求めた裁判において、2019827日、最高裁判所第3小法廷(山崎敏充裁判長)は大阪朝鮮学園の上告を棄却し、また上告審として受理しないと決定しました。さらに同日、東京朝鮮中高級学校の生徒61人(提訴時62人)が起こした国家賠償訴訟においても、最高裁同小法廷は上告棄却、上告受理申立て不受理の決定を下しました。

最高裁が司法の自壊を宣言したかのような今回の不当な決定を、私たちは決して認めず、断固として強く抗議します。最高裁は大阪府・大阪市補助金裁判においても、さる20181128日に同様の不当な決定を行っており、私たちの怒りは頂点に達しています。日本の司法が時の政治権力におもねる存在に成り下がり、三権分立が形骸化してしまったことを、私たちはこの社会の基本的人権と民主主義のために深く悲しむものです。

さる2017728日に大阪地方裁判所が言い渡した第一審判決は、大阪朝鮮高級学校に対する不指定処分について、当時の下村博文文部科学大臣が裁量権を逸脱、濫用したもので違法、無効であり、同校は法令に基づき適正に運営されていると認めました。大阪地裁での全面敗訴に慌てた国は、控訴理由書で朝鮮総聯の「反社会的組織」としての性格を強調し、総聯の「不当な支配」を受けている疑いがある朝鮮高級学校の教育内容は、教育基本法の理念に反するとの主張を執拗に展開しました。本来、教育の機会均等を目的とするはずの「高校無償化」制度の適用において、植民地宗主国の意識に満ちた公安警察のような観点をもって、朝鮮学校に対する差別を正当化しようとしたのです。ところが大阪高等裁判所はあろうことか、およそ教育行政とは無関係なこうした無理筋の主張を受け入れ、2018927日に国側逆転勝訴の不当判決を言い渡しました。そして今回の最高裁決定により、国側勝訴が確定することとなりました。

この間、国際人権機関は日本政府に対して朝鮮学校に「高校無償化」制度を適用するよう、再三勧告してきました。今年(2019年)に入っても、35日に国連子どもの権利委員会が、朝鮮学校に制度を適用するために基準そのものを見直すよう勧告しています。ところが日本政府はこれらの勧告を無視するばかりか、地方公共団体への補助金交付に圧力をかけ(2016329日付文科大臣通知)、来る101日から実施予定の「幼保無償化」においても、朝鮮学校を含む外国人学校(各種学校)の幼稚園を除外するという露骨な差別政策を取り続けています。

このような朝鮮学校に繰り返される差別は、日韓関係を悪化させてきた最近の日本政府の傲慢で卑劣な対韓政策と合わせて考えるならば、日本の国家権力による朝鮮民族全体に対する植民地主義的な政策方針の一環であることが、いっそう明確となっています。

 私たち「朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪」は、「高校無償化」制度排除や補助金停止を1948年の「424教育闘争」以来の朝鮮学校に対する深刻な弾圧と捉え、大阪朝鮮学園、生徒・保護者・教員をはじめとする学校関係者、および弁護団の方々と手を携え、この困難な裁判闘争に取り組んでまいりました。そしてこの間、大阪府内はもとより日本全国の心ある方々、また大韓民国・朝鮮民主主義人民共和国をはじめとする全世界の方々から、大きな激励をいただきました。このような残念な結果をご報告しなければならないことは、まことに無念ではありますが、志を同じくする方々とともに歴史に恥じない闘いを繰り広げてきたことは私たちの誇りとするところです。

 安倍政権に忖度し、もはや政治の下僕と化した司法の不当な決定に、私たちが屈することはありません。私たちはいっそうの覚悟をもって、すべての朝鮮高級学校に対する「高校無償化」制度の適用、朝鮮幼稚園に対する「幼保無償化」の実施、そして大阪府・大阪市ほか地方公共団体の補助金交付再開を求め、今後も闘い続ける決意をここに改めて表明します。とくに高裁で審理中の広島、愛知、福岡をはじめ、日本全国や海外の仲間たちと固く手を結び、最後の勝利に向けて朝鮮学校をいっそう力強く支援していきます。この社会に生きるすべての子どもたちの将来のために、さらなるご支援をお願いいたします。

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