第14回口頭弁論

人証の必要性を強く主張

12月9日、第14回目の「高校無償化裁判」口頭弁論が大阪地裁202号法廷で行われました。
来年の1月24日で提訴から丸3年を迎えるこの裁判も「補助金裁判」と共にいよいよ大詰めを迎えようとしています。原告弁護団はこれまで約3年の間、地道に積み重ねてきた主張を当事者たち自身の声で直接裁判官に訴えるため最終段階での「証人尋問」を申請して来ました。今回はその必要性を李承現弁護士が陳述しました。李弁護士は朝鮮学園理事長をはじめ保護者、教員、支援者ら当事者の声がこの裁判で争われている事実関係を明らかにするために必要不可欠だと述べました。李弁護士は当裁判の争点を要約して、朝鮮高級学校の教育内容が高等学校の教育課程に類するか否か、無償化法の対象から除外された問題で政治的意図があったのかどうか、また対象から除外された事により「教育の機会均等」を定めた教育基本法の平等原則に反するかどうかだと指摘しました。そして、それらの事実関係を立証するのは当事者らの実体験に基づいた発言に他ならないと主張し、裁判官に繰り返し「証人尋問」を求めました。
陳述後、丹羽弁護団長が、前回出した「求釈明」に対する国側の回答について更に追求しました。丹羽弁護士は、規定から「ハの条項」を削除した根拠や、朝鮮学校を対象から除外した理由とする「諸事情」とは具体的に何を指すのかを求めた原告の問いに国側が示した証拠が一連の新聞報道であることを指弾し、直接発言を求めました。ところが、国側代理人は「反論や求釈明があれば書面で提出して頂きたい。」の一点張りで法廷でのやり取りを頑なに拒否し、真摯な態度で審理に臨もうとはしませんでした。
裁判長は「原告の主張もおおかた出揃った」との認識を示し、最終段階に向けた「進行協議」を提起しました。双方の予定が確認され、次回期日は来年2月17日。原告と被告の弁護士らのみによる「進行協議」として行われ、次の口頭弁論期日が決められることになりました。

■ 裁判終了後、弁護士会館前で報告会が行われました。
丹羽雅雄弁護団長は今日の期日を総括し「求釈明」に対する国側の回答について説明されました。まず内容的には全く質問の答えになっていないとした上で丹羽弁護士は、そればかりでなく、一部の偏った新聞記事を証拠として提出してきた事を指摘しました。その記事は神奈川朝鮮学園が保護者家庭に支給された補助金を「強制徴収」したとする捏造報道。件の記事を掲載した新聞社は、事あるごとに朝鮮学校に対し「疑惑のアドバルーン」、「悪意のアドバルーン」を仰々しく打ち上げ、再度「補助金を凍結せよ」と行政に圧力をかけ続けてきました。しかし事実は保護者らによる寄付でありました。「強制」ではない「任意」の寄付です。それをイメージ操作に悪用し、あろう事か国側は不指定の理由としてそれに乗ったと言う事です。看過できない由々しき問題だとして丹羽弁護士はそれを追求するために、あえて法廷で発言しました。丹羽弁護士は続けて「本来、裁判とは『直接主義』、『弁論主義』が原則だ。ところが国側はすべて書面で処理している。異常なまで慎重になり発言が残されるやり取りを拒んでいる。非常に裁判が『形骸化』し、裁判の原則論に反している。」と批判しました。
丹羽弁護士は最後に、長期化する法廷闘争のために疲弊している原告当事者らを労いながら、最後の闘いを一緒に勝ち抜こうと力強く訴えました。
■ 続いて李承現弁護士が、裁判で陳述した内容を説明しました。李弁護士は当事者らが抱える家計の苦しさ、生じている格差など「体験を述べてもらってはじめてちゃんとした事実認定が出来る。だから裁判所にも『証人尋問』で全員採用を求めた。」として、「人証」の必要性を重ねて説きました。また、一人でも多く「証人尋問」に採用されるよう次回の進行協議でも繰り返し強く主張すると決意を述べられました。
■ 最後に無償化連絡会・大阪の大村和子さんが活動報告をしました。11月12日に行われた裁判報告集会の総括と、来年2月13日に「大淀コミュニティーセンター」で行われる「全国一斉行動 in 大阪」についても告知しました。そして、一人でも多くの人に朝鮮学校問題への関心を持ってもらい、共に闘う仲間を増やすため頑張ろうと訴えました。そして最後に皆で力をあわせてこの裁判闘争に必ず勝とうと訴えました。